国と東京電力による廃炉と損害賠償に関する南相馬市民向け説明会が7日、同市の市民文化会館で開かれた。損害賠償について国は原子力損害賠償紛争審査会の中間指針や検討経過の説明、東電は個別事情による対応を表明する場面が多く、具体的な前進回答を求める住民側には不満が膨らんだ。
市民が国や東電と直接意見を交換する場として市が設定した。旧警戒区域とそれ以外の住民向けに午前と午後の2回開いた。桜井勝延市長らのあいさつの後、石崎芳行東電副社長(福島復興本社代表)が原発事故などについてあらためて謝罪した。
事前に市民から出されていた質問について国側はほとんどが後日の回答とした。東電は損害賠償の時効について、消滅時効の完成後の請求でも協議することなど、これまでに明らかにしている方針を説明した。
精神的被害に関する賠償が自賠責保険の慰謝料を参考としていることには不満の声が相次いだ。「避難民の意見をくんで指針作りをやり直すべき」などの意見が出された。区域再編時期によって賠償に差が生じないよう求める声もあった。
国と東電に対し県内全基廃炉などを求める要求書を提出した。
旧警戒区域外の住民対象の午前中は約130人、旧警戒区域の住民対象の午後は約450人で、会場には空席も目立った。原町区の主婦(63)は「市民は『大した回答もないだろう』と思っているのかもしれないが、それにしても参加者が少ない。国や東電に圧力をかけるぐらいの勢いが必要なのではないか」と話した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)