環境省が10日に公表した新たな災害廃棄物処理計画でも完了時期が示されなかった。
避難区域11市町村の災害廃棄物処理の今後の流れは【図】の通り。市町村単位で国が整備する仮設焼却炉の立地場所が確保されている場合は平成25年度内に着工し、26年度から処理を開始する。
仮置き場や仮設焼却炉設置に向けた同意取得状況などは【表】の通り。現在、処理施設建設の同意取得を得たのは川内と飯舘の2村にとどまっており、設置予定がない田村市を除いた残りの8市町村は見通しが立っていない。処理完了は仮設焼却炉の供用開始から2~3年以内で、完了は早い市町村でも28年以降になる。
仮置き場を既に確保している市町村は25年度の搬入完了を目指す。川俣、富岡、双葉、浪江、葛尾、飯舘の6町村は同意取得に向け住民との調整が続いており、環境省は搬入完了時期を12月までに設定する方針。
県によると、避難区域の廃棄物発生見込み量は47万4千トンで、処理は手付かずのままだ。
■再除染と森林除染拡大限定的に認める
除染の新方針では、地元から要望の強い再除染と森林除染の対象拡大を限定的に認めた。
再除染は市町村単位の除染終了後にモニタリング調査を実施。放射線量が下がっていない地点や降雨などで放射性物質が移動し、線量が上がった地点などを対象とする。
住宅付近の森林除染は現在の「住宅から20メートル程度」の除染で放射線量が下がらない場合、住宅から5メートルを再度、除染する。森林からの影響を受けやすい山間部の住宅地周辺については、20メートルを超える範囲まで除染を認める。
ただ、いずれも具体的な判断基準などは示されていない。住民が日常的に立ち入らない森林除染も具体的な対応を先送りした。
(カテゴリー:福島第一原発事故)