東日本大震災アーカイブ

荒廃家屋、国費で解体 国直轄除染 長期避難に対応 工程円滑化

 環境省の新たな除染、災害廃棄物処理方針では、作業工程のほか、除染などを円滑に進める手法も示された。長期避難で荒廃した家屋を国費での解体・撤去の対象とする。ネズミ被害などが深刻化する一方、解体費用は東京電力の賠償対象に認められておらず、住民からは「住めないのであれば、除染よりも解体してほしい」との声が出ていた。
 環境省は家屋の荒廃状況にかかわらず、「周囲の生活環境に差し障りを与えている場合」を対象とする方針。悪臭や大量の害獣被害などが想定されるものの、具体的な要件に乏しい。多くの家屋を対象とすれば、廃棄物の発生量が膨大になり、仮置き場確保が一層、困難になる可能性もある。
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 新たな計画では、作業のスピードアップを図るため、主要道路など社会基盤の復旧、整備と除染を一体的に進める。
 防火水槽を除染対象としたほか、居住制限区域など放射線量が高い地域では老朽化した雨どいは除染せず、交換することを認めた。

■完了、全域は田村 宅地は川内のみ市町村で差 除染の進捗状況
 国直轄除染の7月末現在の進捗(しんちょく)状況は【上表】の通り。市町村によって大きな差がある。
 全ての除染を終えた田村市を除き、宅地が完了したのは川内村のみ。平成25年度内に完了予定の楢葉町は51%、大熊町は3%にとどまっている。大熊町は町民の96%が除染方針の定まっていない帰還困難区域に居住。除染対象が局所的なため25年度内に完了する。
 市町村ごとの今後の除染方針などは【下表】の通り。除染が26年度に延長された7市町村は川俣町を除き、仮置き場確保が進んでいない。

カテゴリー:福島第一原発事故