環境省は10日、国直轄除染と災害廃棄物処理の工程を見直し、新たな方針を示した。除染は対象11市町村のうち、7市町村で平成25年度内の完了を正式に断念。完了時期の明示は先送りし、市町村と協議した上で年末をめどに決める。
除染が延長されるのは南相馬、川俣、富岡、双葉、浪江、葛尾、飯舘の7市町村。仮置き場の確保や同意取得に時間を要し、各地で作業が大幅に遅れている。完了時期は年内に策定し直す除染計画に盛り込むが、現段階では見通せていない。復興の前提となる除染の完了時期が先送りされたことで、関係市町村の復興計画にも影響を与えかねない状況だ。放射線量が高い帰還困難区域の除染については、モデル除染結果を踏まえるとして、具体策は示されなかった。
6月に除染が終わった田村市と、25年度中に完了見通しの楢葉、川内、大熊(帰還困難区域は除く)の3町村については、除染で線量がどの程度下がったかを確認するための事後モニタリングを行う。放射性物質の取り残しが見つかった場合は再除染を認める。
災害廃棄物処理も当初予定していた25年度内には終わらず、完了は早くても28年以降になる。各市町村に設ける仮設焼却炉で26年度からの処理開始を目指す。完了は処理開始から2~3年と見込む。焼却炉設置に向けた住民の同意取得が進んでいない市町村もあり、大幅に遅れる可能性もある。
■加速化取り組み強化を 佐藤知事
国直轄除染が延長されたことについて、佐藤雄平知事は「市町村の復興、住民帰還に密接に関わり、遺憾。計画の再度の見直しが生じないよう、各市町村の課題や意向を十分に踏まえて調整し、加速化に向けた取り組みを強化してほしい。森林全体の除染方針を早期に示すよう求めていく」とコメントした。
(カテゴリー:福島第一原発事故)