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【双葉郡の中高一貫校】 地元招致「綱引き」 首長の思惑交錯

厳しい表情で会議に臨む双葉郡の首長ら

 双葉地方町村会が21日、中高一貫校の設置場所を選定できなかった背景には、住民の帰還を後押しする材料となる新設校を地元に招致したい首長の思惑がある。議論を重ねてきたが、折衷案は浮上せず学校の設置、運営主体の県教委にボールを投げた。

■溝埋まらず
 ある出席者は、報道陣に非公開で行われた会議について「水面下での綱引きが、ところどころで見られた」と明かす。
 避難区域が解除されているため、すぐに開設準備に入れる自治体がある一方、解除後の町づくりの柱に据えたい自治体もあり互いの考えの溝は埋まらなかった。さらに、教育復興ビジョンの「27年度に南双葉で開校」という条件で除外される自治体の首長からは「議論は時期尚早なのではないか」「原発事故が収束したとはいえない状況で双葉郡に学校を設置すべきか」といった意見も飛び出した。

■戸惑い
 県教委の担当者は「突然の決定に驚いている」と戸惑いの表情を見せた。町村会は来月初旬、県教委に対して正式に場所選定を要望する。結論は来月中に出すことも求める方針。ただ、県教委の担当者は「町村それぞれの考え方を尊重して結論を出すには、相当の時間を要する」と漏らす。
 一方、町村会が27年度の中高同時開校を求めているのに対し、県教委は「中学校は28年度以降の開校が現実的」とする立場を崩していない。中学校の教育方針やカリキュラムなどについて議論が尽くされていないため、開校まで時間を要するとしている。設置場所以外にも課題は残る。

■焦り
 復興庁は政府の来年度予算の概算要求で中高一貫校の設置を求めた。設置場所が決まり次第、費用を追加要求する方針。同庁と連携して準備を進める文部科学省の担当者は「早く決めてもらわないといけない。もう各省と財務省との折衝は始まっている」と焦りをにじませる。
 保護者からも早期の設置を求める声が上がる。
 双葉郡8町村の18歳未満の避難者数は今年4月1日現在、1万1450人が地元を離れている。
 富岡町からいわき市に避難している自営業藤田大さん(43)は中学2年の長男、小学5年の長女、幼稚園の次男がいる。「時がたてば地元に戻る動きは鈍る。子どもたちは避難先のいわき市で友達ができて部活動もやっている。もう、いわき市で育てるしかないと思っている」と複雑な表情を見せる。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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