東日本大震災アーカイブ

甲状腺がん8人増26人 原発事故の影響考えられず、検討委

 東京電力福島第一原発事故を受けた県の県民健康管理調査の検討委員会は12日、福島市の福島ビューホテルで開かれた。東日本大震災当時に18歳以下で、甲状腺がんと「確定」した人は前回8月の18人から8人増え26人になった。「がんの疑い」は32人(前回は25人)。
 検査が進んだ結果、平成23年度検査で甲状腺がんと確定したのは10人(前回比1人増)、疑いが3人(同1人減)、24年度検査では確定が16人(同7人増)、疑いが28人(同7人増)、25年度検査で疑いが1人となった。星北斗座長(県医師会常任理事)は会議後の記者会見で「現時点で原発事故による放射線の影響で明らかに増えているとは考えられない」との見解をあらためて示した。
 「確定」「がんの疑い」と診断された計58人の年齢層(二次検査時点)は8歳が1人、11歳が1人、残りは13~21歳だった。放射線の影響を受けやすいとされる8歳以下はほとんどいなかった。
 また、原発事故が起きた平成23年3月11日から4カ月間の外部被ばく線量の推計値の内訳を初めて公表した。「確定」と「疑い」に、手術の結果「良性」と判明した1人を含む計59人のうち、推計値の調査に回答したのは21人。0.5ミリシーベルト未満が4人、0.5~1ミリシーベルト未満が8人、1~1.5ミリシーベルト未満が7人、1.5~2ミリシーベルト未満が2人だった。
 甲状腺検査は、震災当時18歳以下の約36万人が対象。一次検査でしこりの大きさなどを調査し、軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが二次検査を受ける。二次検査で「がんの疑い」と判断され、手術を受けると、がんかどうか確定する。

■23~25年度市町村別 2次検査結果を公表

 検討委員会では、平成23、24、25年度の甲状腺検査の実施対象市町村別の二次検査結果を公表した。
 検査結果は【表(1)】の通り。23年度は原発周辺などの13市町村の4万1493人を一次検査した。一次検査で、二次検査が必要とされる「B」「C」と判定されたのは216人で、このうち188人が詳細検査を終了。8市町村の13人が甲状腺がんの診断が「確定」または「がんの疑い」とされた。
 24年度は、中通りなどの13市町村の13万8865人が一次検査を受け、971人が二次検査の対象となった。二次検査の受検者のうち、8市町村の44人が甲状腺がんの診断が「確定」または「がんの疑い」とされた。
 25年度は、中通り、浜通りの5市町の5万8427人が一次検査を受検し、372人が二次検査対象となった。このうち、いわき市の1人が「がんの疑い」と診断された。

■66%が年1ミリシーベルト未満 外部被ばく推計

 検討委員会では、放射線業務従事者を除く県民45万1364人の外部被ばく線量(原発事故から4カ月間)について、66%が平時の年間被ばく線量の上限とされる1ミリシーベルト未満だったとする推計結果が報告された。1ミリシーベルト未満の割合は前回(7月時点)とほぼ同じ結果となった。
 市町村別の外部被ばく線量の推計結果は【表(2)】の通り。基本調査の問診票を基に推計している。除染業務従事者を含む全県ベースの対象者は205万6994人で、9月30日時点の問診票の回答者数は48万4864人。このうち、95・1%に当たる46万887人分の推計を終えた。

■甲状腺検査 27日に評価部会

 県民健康管理調査検討委員会が設置する「甲状腺検査評価部会」の初会合は27日午後2時から福島市で開かれる。
 星北斗座長はじめ、現委員、甲状腺と疫学の専門家の9人態勢とする。第三者の立場から個別の症例を検証する他、今後の検査についての意見をまとめ、県や福島医大に提案する。委員は次の通り。
 春日文子(日本学術会議副会長、国立医薬品食品衛生研究所安全情報部長)加藤良平(山梨大医学部人体病理学講座教授)欅田尚樹(国立保健医療科学院生活環境部長)渋谷健司(東京大医学部医学系研究科教授)清水一雄(日本医科大内分泌・心臓血管・呼吸器外科統括責任者、内分泌外科大学院教授・内分泌外科部長)清水修2(福島大経済経営学類教授)津金昌一郎(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)西美和(広島赤十字病院・原爆病院小児科部)星北斗(県医師会常任理事)

■問診票回答率0.1ポイント増の23.6%

 検討委員会では、基本調査の問診票の回答状況も報告した。県平均は23・6%で、前回に比べ0・1ポイントアップにとどまった。市町村別では、最高は浪江町の60・1%、最低は湯川村の12・1%だった。
 問診票の回答率向上に向け、県は簡素化した問診票を作成し、年内に未回答者への発送を開始する。

■情報開示請求の手続きを簡素化 福医大

 福島医大は12日、甲状腺検査結果の自己情報開示請求手続きを簡素化した。検討委で示した。
 従来は、開示請求者と福島医大との間で複数回の申請手続きが必要だったが、原則1回の手続きで完了させる。提供に必要なコピー用紙代、郵送料も無料とした。
 本人確認については、戸籍抄本の提出を不要とし、福島医大が送付する検査結果通知の写しで可能になった。詳細は福島医大放射線医学県民健康管理センターのホームページに掲載している。

■24年度の県外受診者数を訂正 検討委

 検討委員会では、前回8月の委員会で公表した健康診査のうち、24年度の県外個別検診の受診者を3057人から3055人に訂正した。実際には受診していない2人が含まれていたため。
 調査をめぐっては、甲状腺検査の二次検査の集計結果に誤りがあったばかりで、福島医大放射線医学県民健康管理センターの阿部正文センター長らが謝罪した。

カテゴリー:福島第一原発事故