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慎重期し作業 ミス、破損に懸念も 使用済み核燃料初の取り出し

作業について説明を受ける協議会委員ら(代表撮影)

 わずかに揺れる水面にさざ波が広がった。燃料取り扱いクレーンのアームが水面に届き、水中の使用済み核燃料へと進んだ。移動速度は1秒間に1センチ程度。アリが歩く速さより遅い。やがてアームは燃料をつかんだ。水面下約1・6メートルまで引き上げた上で、輸送容器を目指し水中を移動した。針の穴に糸を通すような作業だ。県廃炉安全監視協議会の専門委員らが固唾(かたず)をのんで見守った。(石川支局長・柳沼 光)
 東京電力福島第一原発4号機核燃料プールで始まった使用済み燃料の取り出し作業が初めて報道陣に公開された。慎重に慎重を重ねて一つ一つの工程が進む。通常、取り出してから輸送容器へ収めるまで30分ほどかかるが、26日は1回目の作業が装填(そうてん)まで約一時間を要した。
 ただ、燃料取り扱いクレーンの移動は目視で行われ、人為的なミスが発生する可能性も否定できない。
 核燃料が破損する懸念もある。18日から行った未使用燃料の取り出し作業では、引き上げた燃料から細かいちりが無数に舞ったという。爆発で散らばったコンクリート片とみられる。プール内に大きな物体はなかったが、除去できない細かな異物が残っている可能性もあり、燃料に傷が付くことを防ぐ対策も必要になる。
 作業員の被ばく対策も課題だ。18日一日間の作業員の最大被ばく線量は0・16ミリシーベルトで、想定された0・8ミリシーベルトを大きく下回った。しかし、隣接する3号機側へ近づくと空間線量が急上昇し壁際は毎時0・2ミリシーベルトにもなる。東電社員は記者団に、3号機側に近づかないよう呼び掛けた。
 廃炉に向け、危険性が高い使用済み核燃料の取り出しは避けて通れない。作業の安全確保が何よりも求められる。

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