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【再生エネ電力買い取り制度】 県内稼働出力5.6%のみ 計画は全国3位126万1382キロワット 除染遅れなど背景 7月末現在

 太陽光など再生可能エネルギーの電力を電力会社が買い取る固定価格買い取り制度で、国の認定を受けた県内の発電設備のうち、実際に運転開始したのは計画出力の5.6%にとどまっている。経済産業省がまとめた。計画出力が今年7月末時点で全国3位の126万1382キロワットに達したが、運転を始めた設備の出力はわずか7万1192キロワットだ。背景の1つには用地の除染の遅れ、地権者の避難による同意取得の難航などがある。

■全国平均17.3%
 県内の発電設備の計画出力は平成24年7月の固定価格買い取り制度スタート以降、飛躍的に伸び、都道府県別では、広い土地を確保しやすい北海道、平地が多い茨城県に次ぐ。標準的な原発1基分(100万キロワット)をしのぐ。しかし、実際に運転を始めた設備の出力は、全国平均の17.3%を大きく下回る。
 経産省や県によると、設備の運転が進まない背景の1つには、全国的に計画の認定が増えたことが挙げられる。太陽光パネルが不足したり、参入事業者が多くなったことで電力会社との接続協議に入るまで時間がかかるケースがあるという。
 他の復興事業と同様に、建設作業員の不足も指摘されている。

■特殊事情
 本県の発電設備整備が進まない要因には、東京電力福島第一原発事故の影響もある。
 県北地方では、太陽光発電設備の設置を予定していた土地が除染廃棄物の仮置き場となり、計画が宙に浮いた。飯舘村では28年度にメガソーラーを稼働させる計画があるが、村内の国直轄除染が計画通りに進んでいない。事業に出資する村は「復興に向けた目玉事業。除染を急いでほしい」と気をもむ。
 太陽光発電事業者によると、津波被害や原発事故の影響で地権者が避難し、用地取得が思うように進まない場所もあるという。
 
■絵に描いた餅
 制度開始当初の昨年7月末時点での県内の計画出力は全国27位の4425キロワットだったが、1年間で急増した。太陽光が123万572キロワットで全体の97.6%を占める。県は52年度に県内のエネルギー需要の100%を太陽光など再生可能エネルギーで賄う目標を掲げる。ただ、県の担当者は「計画通り全て順調にいけばいいが、簡単ではない」と話す。
 制度開始前からの運転分を合わせた再生可能エネルギーの稼働累計は7月末時点で44万1224キロワットで、県の25年度目標(48万8226キロワット)の90%。県は「メガソーラーは完成に1年以上かかるケースもあり、数年後には稼働率が上向くはず」と期待する。ただ、「認定計画ばかりが先行し、実態が追い付かなければ、絵に描いた餅になる」と懸念する。

【再生エネ電力買い取り制度】手厚い補助で計画増 被災の本県、優遇 稼働遅れ、制度に原因も

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度で、制度の認定を受けた計画出力が急増する中、発電設備の稼働が伸び悩む本県。背景には東京電力福島第一原発事故、東日本大震災の被災県として準備された手厚い補助がある。

■特典
 「県内の補助制度の充実や企業意識の変化がある」。県の担当者は固定価格買い取り制度に認定された発電設備の計画出力が増加している理由を分析する。
 県の住宅用太陽光発電の補助金は1キロワット当たり3万5000円と全国一高い。ふくしま産業復興企業立地補助金、東日本大震災の被災県限定の国の補助制度などの特典がある。
 大手企業には、再生可能エネルギー事業による雇用創出などで被災地の復興に貢献しようとの企業意識もみられるという。

■実態調査
 計画出力と実際の稼働との落差は全国的な課題でもある。経済産業省によると、計画認定当初の買い取り価格が長期間固定される制度を逆手に取り、あえて着工を遅らせる事業者も一部にいるという。
 買い取り価格は多額の設備投資を回収するための仕組みで、普及が進んで設備コストが下がれば価格も下落する。太陽光(出力10キロワット以上)の場合、平成24年度は1キロワット時当たり42円だが、25年度は37.80円となった。このため、価格が高いうちに計画認定を受け、設備投資が安くなる数年後に着工しようとする事業者が出始めたという。
 経産省は全国で稼働が遅れている実態調査に乗り出している。

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