東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物を搬入する中間貯蔵施設について、佐藤雄平知事は4日、大熊、双葉、楢葉の3町に設けられた建設候補地のうち、楢葉町を外し、大熊、双葉の2町に集約する再配置案を示した。大熊、双葉両町の施設は政府設置案に沿って敷地面積を維持し、楢葉町に搬入を計画していた廃棄物も受け入れるよう国に計画見直しを求める。渡辺利綱大熊町長、伊沢史朗双葉町長は集約に一定の理解を示した。ただ、「施設建設の受け入れとは別問題」と強調し、再配置案を容認するとは限らないとの認識を示した。
4日に郡山市で開いた県と大熊、双葉両町の会合で、佐藤知事が表明した。県は近く、双葉郡8町村との会合も設け、再配置に対する知事の考えを説明する。地元の理解が得られ次第、国に見直しを求める。国から新たな配置案、地域振興策などが示された上で施設の受け入れの議論を本格化させる方針だ。
佐藤知事は会合後、記者団に「施設の面積が小さい方が双葉郡の復興につながる」と集約を求めた理由を説明。両町の敷地の規模については「国から要請があった面積のままにしたい」として、両町に新たな負担が生じないようにする。
環境省の試算では、施設に搬入する汚染土壌などの廃棄物は1600万~2800万立方メートルと幅がある。県は、草木などを最新技術で減容化した場合に搬入量がどのくらい減るか、国にあらためて精査を促す。その上で、設置案で示した大熊、双葉両町の建設候補地内で保管できるように計画見直しを求める。
政府の配置案では、第一原発周囲など3町合わせて約19平方キロを国有化して整備する。大熊町は約11平方キロ、双葉町は約5平方キロでいずれも帰還困難区域に指定されている。楢葉町は東電福島第二原発南西部の避難指示解除準備区域の約3平方キロとなっている。
中間貯蔵施設をめぐっては、楢葉町が1キロ当たり10万ベクレルを超える高濃度の放射性物質を含む廃棄物を受け入れない方針を表明し、佐藤知事が自ら調整に乗り出す考えを示していた。
会合には大熊町議会の千葉幸生議長、渡辺信行副議長、双葉町議会の佐々木清一議長、岩本久人副議長が同席した。
政府は中間貯蔵施設とは別に富岡町に対し、既存の管理型処分場で放射性物質が8000ベクレル超~10万ベクレル以下の焼却灰などの処分を要請している。
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