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浪江町内で9社が業務再開 上下水道の復旧、除染課題 避難区域再編から1年

4月1日の業務再開に向け、準備作業に追われる署員=28日、双葉署浪江分庁舎

 東京電力福島第一原発事故に伴う浪江町の旧警戒区域が再編され、4月1日で1年となる。町内で業務を再開した企業は9社で、1日には11社となる。警察と消防も町内で本格的な業務を始める。ただ、上下水道の復旧は遅れ、除染は多くの行政区で手付かずの状態。仮置き場確保など課題は依然として多い。

■先導役
 29日現在、浪江町内で業務を再開した企業は自動車整備業や電気工事業、警備業、ガソリンスタンドなど9社ある。1日からは新たに鉄骨関係工事、農機具販売・修理の2社が加わる予定だ。桧野照行副町長(65)は「復興を盛り上げる先導役」と歓迎する。
 同町権現堂の泉田自動車工業所は、今年2月に業務を再開し、復旧作業に関わる車両の整備などに当たっている。工場長の横田文雄さん(63)は、いわき市好間町の仮設住宅から1時間以上かけて通っている。東日本大震災前は部品調達を町内で済ませていたが、現在は南相馬市まで行かなければならない。「復興のために必要な仕事だから」と日々の業務に向かう。
 事業主らからは、上下水道の復旧を望む声が上がる。
 泉田自動車工業所は井戸からくみ上げた水で対応している。横田さんは「水が使えず仕事にならない会社は多いはず。町は復旧と整備を急ぐべきだ」と代弁する。
 上水の主体となる太い水道管は復旧したが、個々の事業所などにつながる管は町内全域で壊れたままだ。町は上下水道を平成27年度内に復旧させるとしている。放射線量が高い地域には業者が入れないため、除染で線量が下がった地区から作業を進める方針だ。

■安心感
 1日に双葉署浪江分庁舎は町内にある元の庁舎で3年ぶりに業務を再開する。双葉地方広域市町村圏組合消防本部浪江消防署も町内の同署臨時庁舎で24時間体制勤務を始める。
 双葉署浪江分庁舎では28日、署員が引っ越しや業務再開の準備に追われた。小野田晴彦所長(55)は「警察が活動している姿を見せることで帰還を考えている町民の安心感につながれば」と語った。
 今後について「町民が帰還していない特殊な状況下で継続的な警戒活動が求められる。署員の意欲の持続も重要だ」と課題を挙げた。

■難航
 晴れ間が広がった28日の酒田行政区。側溝を高圧洗浄機で洗う除染作業員の姿があった。
 町内で除染廃棄物の仮置き場が設置され、本格除染が始まったのは酒田をはじめ、立野下、高瀬の3つの行政区のみ。残る46行政区は見通しが立っていない。このうち、国は帰還困難区域の15行政区を除く31行政区で28年度内に除染を終えるとしている。ただ、28行政区はいまだ仮置き場が決まらず、目標までに終えられるかは不透明だ。
 仮置き場の設置には地権者や周辺住民の同意が必要となる。26年度内の同意取得完了を目指し、国と町が連携して交渉に当たっているが、町民が全国各地に避難していることが交渉を長期化させている。
 加えて、仮置き場の除染廃棄物を運び込み、長期保管する中間貯蔵施設の設置計画の見通しが立たないことが不安材料になっている。
 町ふるさと再生課の担当者は「話し合いは簡単ではない」とし、国が中間貯蔵施設の設置に早急に道筋を示す必要性を強調した。

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