東日本大震災

「福島第一原発事故」アーカイブ

  • Check

中間貯蔵施設の安全対策を了承 国の設置案で県専門家会議

 東京電力福島第一原発事故に伴う除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設について、県の専門家会議は25日、放射性セシウム流出や周辺の放射線量管理などを含む国の安全対策を大筋で了承する中間取りまとめを発表した。ただ、廃棄物運搬時に混乱が予想されるとして、搬入業務全体を取り仕切る管理者を置くよう求めている。中間取りまとめは、施設受け入れの是非をめぐる佐藤雄平知事の重要な判断材料となる。
 専門家会議は同日、福島市の杉妻会館で会合を開き、環境省が示した中間貯蔵施設の安全対策全般について検証した。
 中間取りまとめに向け、施設の安全性を担保するため確認した事項は【下記】の通り。中間貯蔵施設に保管される除染廃棄物の放射性セシウムについて、一部の委員から「セシウムは水に溶け出す性質を持っており、地下水に浸透する可能性がある」とする意見が出ていた。指摘を踏まえ、同省は除染廃棄物を放射性物資の濃度を基に分類して保管し、それぞれに必要な浸透防止対策を講じる方針を示した。会合では、同省の提示した手法により一定の効果が得られるとの考えで一致した。
 同省は中間貯蔵施設周辺で放射線量、排水、有害物質の各モニタリングを常時、実施するとしている。これを受け、環境影響の監視態勢は十分だと判断した。地震や津波、大雨対策については、過去の震度や降雨量を参考に堤防や集排水など関連設備の設計がなされていると評価した。
 一方、県内全域からの除染廃棄物の運搬について「過去に前例のないスケールで展開される」と指摘。事故やトラブルなどの発生を想定し、業務を一元的に取りまとめる管理者を置くよう要望した。会合に出席した環境省の担当者は管理主体を検討していく方針を伝えた。
 県は近く、中間取りまとめの内容を佐藤知事が出席する関係部長連絡会議で精査する。
 会合終了後、専門家会議座長の長谷川哲也県生活環境部長は「専門的見地から安全性を確認できたことは大きな意義がある。県の判断材料とさせてもらう」と述べた。
 県は昨年4月、中間貯蔵施設の安全性について独自に分析、検証するため専門家会議を設置した。原子力や廃棄物処理を専門とする大学教授ら9人が委員を務め、6回にわたって施設の構造や放射線対策、維持管理方法、自然災害への対応などについて検証してきた。
 中間貯蔵施設は、県内の除染で出た汚染土壌などを最長30年間保管する。政府は東京電力福島第一原発周辺の双葉、大熊両町に整備する計画で、平成27年1月の使用開始を目指している。

■中間貯蔵施設に関する専門家会議の確認事項
◆現地調査(ボーリング調査など)
 ▼放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレル以下の土壌は溶出性が低く、公共用水域や地下水を汚染させる恐れがない。
 ▼設置予定の低地、台地、丘陵部の下部には堅固な地層が分布する。
◆施設の構造および配置
 ▼周辺住民の生活環境を守るため、放射性物質濃度が高い除去土壌を取り扱う施設はできるだけ一般公衆から距離を置く。
 ▼海側には津波対策で防潮堤を設ける。
 ▼放射性物質濃度の比較的高い廃棄物を取り扱う施設は、地震などに対して固い地盤を有する丘陵部、台地部に配置する。
 ▼土壌中の放射性セシウムの溶出性を踏まえ、地下水を汚染する恐れのない土壌と、そうでない土壌を構造的に分類して貯蔵することを基本としている。
 ▼想定される最大規模の地震に対し、各構造物の基本的な構造や機能を損なわないように地盤の安定性、構造自体の強度を確保する。
 ▼洪水・雨水対策については過去15年間で最大の降雨量を用いた施設設計や運用により安全性を確保する。
◆放射線の安全評価
 ▼平常時の追加被ばく線量は最大で年間0.5ミリシーベルトで設定基準を満たしている。
◆運営・管理
 ▼施設は環境省が責任を持って管理・運営を行う。
 ▼環境放射線モニタリング、排水モニタリング、有害物質のモニタリングを実施する。
◆運搬の基本的な考え方
 ▼大量の土壌運搬であり、土壌には放射性物質が含まれていることから、除去土壌の運搬の基本方針に基づき総合的に検討していく。

カテゴリー:福島第一原発事故

「福島第一原発事故」の最新記事

>> 一覧

東日本大震災の最新記事

>> 一覧