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【緊急速報メール】県内全市町村導入へ 職員確保が課題 予備電源の整備進まず

 災害発生時の避難情報などを携帯電話に一斉配信する緊急速報メール(エリアメール)が平成26年度中に田村、川俣、下郷、飯舘の4市町村で導入される見通しになり、東日本大震災から3年が過ぎてようやく県内全市町村で整う。ただ、対応する職員や停電時の予備電源の確保が一部で進まない。震災で混乱した経験から学んだ複数の情報伝達手段の確保も課題だ。

■有効な手段
 エリアメールはNTTドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの携帯電話大手3社がサービスを提供している。県内で3社全てか、いずれかの携帯電話会社に利用登録しているのは55市町村。一部の携帯電話会社から複数社への登録拡大を検討している自治体もある。
 携帯電話で送信する情報は、避難の準備・勧告・指示、津波の注意報・警報・大津波警報、弾道ミサイル情報、火山噴火警報、指定河川の洪水情報、大規模テロ情報など。配信情報は各市町村が選び、携帯各社に申し込む。
 いわき市は平成24年7月から運用を開始し、これまでに17回、情報を発信した。田人町の県道いわき石川線でのり面が崩落した今年4月4日の大雨の際は、土砂災害警戒情報として発信し、注意を呼び掛けた。市危機管理課の担当者は「人的被害はなかった。ほとんどの市民が携帯電話を持っており、エリアメールは有効な情報伝達手段」としている。

■態勢確保
 システムを導入している市町村は、運用面での課題を挙げる。
 災害発生時、システムを運用できる職員が庁舎に行けない場合などを想定し、複数の職員確保が必要とみている。ただ、職員数の少ない自治体は態勢が整わない。塙町の担当者は「緊急時には、担当職員がすぐに役場に行けない事態が予想される。職員数が少なく、係の垣根を越えた態勢にしないとならない」と打ち明ける。
 エリアメールは各市町村の役場庁舎にあるパソコンに職員が情報を入力し、インターネット経由で送信するシステムだ。地震などで停電が起きたり、通信回路が寸断したりすれば送信できない。このため、予算の必要な予備の通信回線や電源の確保が必要になる。
 震災直後は、対応拠点となる市町村庁舎などの公共施設が停電し、混乱した。県と県内の市町村は27年度末までに、公共施設330カ所に太陽光パネルと蓄電池を設置し、非常時に最低限必要な電力を確保できる態勢を整える方針だ。

■直接周知
 土砂災害の危険性が比較的高い山間部などでは、携帯電話会社によって電波が通じにくく加入してもメールが届かないケースが想定される。会津地方の町の担当者は「役場周辺は電波状態が良くても、少し離れると圏外になる。事業者による通信エリアの拡大が欠かせない」と話す。
 携帯電話と別の情報伝達手段の確保も震災で学んだ教訓だ。高齢者や子どもを中心に携帯電話を持っていない人もいる。
 飯舘村は、24時間態勢で村内を巡回する見守り隊を活用する。災害発生時に職員の広報班とは別に車両を走らせ、スピーカーで情報を知らせる。担当者は「エリアメールと合わせ直接、住民に知らせることも重要だ」と強調している。

【背景】
 東日本大震災発生時、停電や電話回線の不通、道路網の寸断などで、住民に避難などの情報が速やかに伝わらなかった。緊急速報メール(エリアメール)は対応する携帯電話を持ち、対象エリアにいる人なら情報を受信できる。申し込みは不要で、月額使用料、通信料など無料。震災発生時、県内で導入していた市町村はなかったが、震災や近年の集中豪雨などを機に運用が急速に広まっている。宮城、岩手両県では全市町村が導入している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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