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記者が歩く 福島の今 川内のリンドウ試験栽培 農地荒廃防ぐ、花卉に挑戦

試験栽培が行われている川内村のリンドウ畑=4日

 小鳥がさえずる緑豊かな山あいの畑で、リンドウの苗が背を伸ばす。川内村の会社社長河原修一さん(53)は6月から、避難指示解除準備区域となっている同村毛戸地区で試験栽培に挑戦している。「古里の農地が荒廃するのを、どうしても防ぎたかった」
 河原さんは震災後、勤めていた双葉地方森林組合を退職。農林業を中心とした事業を展開する会社「緑樹」をつくり、消費者の不安が比較的少ない花卉(かき)に注目した。
 だが、村内ではリンドウの栽培実績がない。一からのスタートとなった。うねの作り方や与える肥料の量、土壌分析などは、県農業総合センターの研究員らが度々訪れ、指導している。
 試験栽培の苗代や肥料代などの経費は全て県の負担だ。将来的には農業経営を成り立たせていきたいと考えているが、具体的な販路などは決まっていない。事業を継続していくためには引き続き、国や県、村などのバックアップが必要だと感じている。
 苗の世話は10日に一度、河原さんと妻茂美さん(54)らが行っている。6月に移殖した苗3000株は20~30センチほどに成長した。中には既に花芽が膨らんだものも。「畑一面に咲いた花を収穫している様子を思い浮かべると、自然と笑顔になります」と河原さんの希望も膨らむ。
 来年夏以降の出荷を目指している。現在は5アールほどの畑で育てているが、拡大する考えだ。同村の三瓶敏彦農政係長(53)は「事業の成功が村全体の再興につながれば」と期待する。
 試験栽培が成功すれば、他の農家が動きだすきっかけとなり、リンドウを川内村の新たな特産品にすることも可能だろう。若者や女性などの雇用の場も生まれる。一人一人が故郷を思い、行動を起こしていくことが復興への一歩となる。
 (本社整理部・塚田 裕之)

カテゴリー:震災から3年5カ月

リンドウ栽培について語る河原さん(左)。右は塚田記者

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