東京電力福島第一原発事故の賠償指針を定める原子力損害賠償紛争審査会の能見善久会長は24日、避難指示の解除後1年を目安に1人当たり月10万円の精神的損害賠償の支払いを打ち切るとする現在の指針について、「1年が相当かどうか議論の1つになる」と述べ、今後あらためて検討する方針を示した。田村市都路町、川内村、富岡町、楢葉町を視察後、記者団の取材に答えた。
昨年12月に策定した中間指針第4次追補には「実際の状況を勘案して柔軟に判断することが適当」と記している。今回は追補に基づく賠償の実施状況を確認するため、策定後、初めて県内を訪れた。
能見会長は「1年で賠償を打ち切ることが直ちに不適当という印象は持たなかった。だが、要望や問題点などを聞いたので、問題提起として受け止め、議論したい」とも語った。
第4次追補の策定以降、審査会は開かれておらず、今後、視察を踏まえて議論するとみられる。
引き続き取材に応じた楢葉町の松本幸英町長は「町の事情を説明し、1年では不十分だと要望した。しっかり検討してもらえると受け止めた」と語った。
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