東日本大震災アーカイブ

地震、津波想定引き上げ 東電 第一原発廃炉に向け

 東京電力は、廃炉作業が続く福島第一原発において地震や津波に備えるため、想定する地震動を最大加速度900ガル、津波の高さを最高水位26・3メートルに引き上げる。3日に都内で開かれた原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会の会合で示した。
 第一原発では、昨年7月施行の新規制基準による基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)や、基準津波は策定されておらず、旧原子力安全・保安院時代の基準地震動の600ガルや、最も懸念される津波の高さ14メートルを便宜的に用いている。規制委は新規制基準に準じた地震動と津波の高さの算定を東電に求めていた。
 東電は新たに想定した津波が到達すると、海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)を通じて建屋地下の高濃度汚染水が流出する可能性に言及。汚染水を抜いてトレンチを埋めることで、津波の襲来で流出する放射性物質を、埋める前の3割程度に減らせるとの試算を示した。
 また、新たな想定の地震動でも、原子炉建屋は耐えられるとの見通しを明らかにした。
 規制委は今後、想定の妥当性を判断する方針。席上、規制委の更田(ふけた)豊志委員は「(今回決める)地震動や、津波の高さを基に、優先度の高いものについて防護策が十分かどうか確認をしていく」と述べた。

カテゴリー:福島第一原発事故