東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く大熊町で7日、営農再開を目指し4年ぶりの稲刈りが行われた。居住制限区域で、試験栽培のため食べられない。放射性物質検査を行った後、田んぼに混ぜ肥料にする。原発事故後、初の実りを廃棄しなければならないが、参加した地元農家や関係者らは「未来への希望になる。来年も続けよう」と誓い合った。
町農業委員と町職員ら合わせて12人で、町の復興拠点である大川原地区にある試験栽培の田んぼ25アールのうち、0.1アール分のひとめぼれの稲穂を刈り取った。鎌で丁寧に刈り取り、棒掛けにし防鳥ネットを掛けた。
町によると、乾燥させ約10日後に福島大などで検査する予定で、結果は来年以降の栽培計画に生かす。
3月の除染完了後、5月に田植えを行った稲は見事に育ち、黄金色の穂を付けた。田植えから関わっている根本友子町農業委員会長(67)は「一時帰宅の際、花は咲いたか、穂は出たかと、必ず足を運んでいた。やっとここまでたどり着いたかという気持ち。出荷や営農再開はまだ遠いが、収穫は何よりうれしい」と笑顔を見せた。
■ヒマワリの種今年初めて回収
町農業委員らは同日、県内外から寄せられ、今年初めて町内で咲いたヒマワリの種も回収した。種は来年同じ場所でまく予定。
(カテゴリー:福島第一原発事故)