東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から丸4年を迎える平成27年が始まった。国と東電は福島第一原発の汚染水対策を本格化させるとともに、困難な作業が想定される高線量下の燃料取り出しを開始する。完了まで30~40年かかる廃炉工程の中、効果が見える一層の対策と着実な作業が求められている。
1日約400トンの地下水が原子炉建屋に流れ込み汚染水となっている。1~4号機建屋周囲の土を凍らせる凍土遮水壁は3月から凍結運転を予定。建屋への地下水流入を大幅に減らす能力がある。ただ、前例のない大規模工事に実現性を疑問視する専門家もいる。
建屋周辺のサブドレン(井戸)でくみ上げた地下水を浄化して海に流す計画は、汚染水となる地下水の建屋への流入を半減する効果が期待される。だが、漁業関係者らの理解を得られておらず運用時期は不透明だ。
敷地内の地上タンクに貯蔵された汚染水の浄化に向けた処理では、62種の放射性物質を取り除く多核種除去設備(ALPS)に加え、放射性ストロンチウムの除去装置を稼働し、3月末までの浄化完了を目指す。
3号機では、27年度前半に使用済み核燃料プールからの燃料取り出しに着手する。昨年12月に完了した4号機と異なり、周辺の放射線量が高いプールから初めての燃料取り出しとなる。作業環境の確保に向けた線量低減やトラブル防止策、遠隔操作での技術開発などが急がれる。
(カテゴリー:福島第一原発事故)