東日本大震災アーカイブ

復興関連、初の1兆円台 県予算1兆8994億円

 内堀雅雄知事は3日、県の平成27年度当初予算案を発表した。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故発生から5年目に入り、本県復興を支える各種拠点整備や災害復旧事業がピークを迎えることから、一般会計は県政史上最高の1兆8994億円となった。このうち、震災と原発事故への対応(復興予算)が1兆286億円で54%を占めた。就任後初めて予算を編成した内堀知事は「福島の未来を拓(ひら)く予算」と位置付けた。
 予算総額は26年度当初予算に比べて1849億円(10・8%)増えた。復興予算は前年度を1582億円(18・2%)上回り、初めて1兆円の大台を超えた。歳出は県総合計画で定めた13の重点プロジェクトに重点配分した。
 各プロジェクトの主な事業は【表】の通りで、内堀知事の独自色を打ち出す新規事業を盛り込んだ。「ふくしま結婚・子育て応援センター(仮称)」「周産期医療人材養成支援センター(仮称)」を設置するほか、双葉郡の住民向けの医療態勢を整える。
 避難指示解除区域などへの再生可能エネルギー発電設備導入のため18億円を盛り込んだ。
 さらに、浜通りの復興に向けて部局横断で取り組むロボット産業創出、風評・風化対策など15事業を「チャレンジふくしま事業」と位置付け、総額65億円を予算化した。
 一方、27年度内に一部で供用を始める各種拠点の整備費も確保。環境創造センター向けに70億円、ふくしま国際医療科学センターに135億円を充てた。28年度の開所を目指す医療機器開発・安全性評価センター(仮称)には整備費25億円を充当した。
 28年度までの完了を目指す市町村除染への支援に2001億円を計上。沿岸部など災害復旧が大半を占める公共事業は3327億円と過去最大となった。
 歳入面は県税収入が前年度比178億円(9・0%)増の2159億円で、震災後初めて2000億円台を回復する見込み。昨春の消費税増税に伴い地方消費税が増えると見込む。公共事業の増加や景気回復の動きを受け、個人県民税や法人事業税も好調に推移するとみる。
 県税収入が増加する見通しのため、地方交付税は前年度比92億円(5・0%)減の1732億円となった。一方、復興の加速に伴い震災復興特別交付税は217億円(27・9%)増の993億円となった。2つを合わせると2725億円で、前年度に比べ125億円(4・8%)増となる。
 内堀知事は県庁で開いた記者会見で「(本県の復興が)『胎動』を経て未来を拓く時期になったという思いで編成した。現場主義に立ち、県民の思いを最大限盛り込んだ」と述べた。

■避難者の生活支援強化

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難生活の長期化を踏まえ、県は避難者の生活再建や健康を見守る体制の強化に向けた事業費を一般会計当初予算案に盛り込んだ。
 震災(原発事故)関連死を防ぐため、県内の仮設住宅や借り上げ住宅を訪問する生活支援相談員を現在の約200人から400人に倍増する方針。事業費として16億2600万円を計上した。県外避難者から生活再建の相談などを受ける復興支援員を新たに、山形、新潟、群馬、栃木、茨城の5県に配置する。これまでは東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県で25人体制だったが、9都県で計65人が活動する見通しだ。8億6000万円を確保した。
 避難者の生活環境改善を急ぐため、災害公営住宅整備に386億円を充当し平成27年度内で652戸の完成を目指す。売買代金などをめぐり建設予定地の地権者との用地交渉がスムーズに進まないケースもあるため、予算内で民間住宅の買い上げを積極的に進める考えだ。

カテゴリー:福島第一原発事故