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「いつも一緒」 子煩悩、世話好きの夫婦

■南相馬市小高区井田川 佐藤朋信さん(87) トメヲさん(88)

 南相馬市小高区井田川の佐藤朋信さん=当時(87)=とトメヲさん=当時(88)=は、いつも掛け合い漫才をしているような仲の良い夫婦だった。東日本大震災の津波で亡くなった。「今頃天国で楽しそうに冗談を言い合っているんじゃないかな」。次女で保育士の泉さん(60)は優しかった両親の姿を思い浮かべる。
 朋信さんは小高区に生まれた。長年県職員を務め、退職後は地元老人会の会長として住民のために尽くした。書道が得意で、年賀状には必ず自作の俳句を筆でしたためた。泉さんは毎年元日に届く朋信さんの年賀状を楽しみにしていた。
 トメヲさんは浪江町津島の出身で、朋信さんと結婚後、泉さんら3人の子を育ててきた。料理が得意だった。泉さんらによく手作りのみそまんじゅうやかしわ餅などのおやつを作った。畑仕事も好きで、食卓に自慢の野菜を使った料理を並べた。朋信さんと冗談を言い合い、家の中は笑い声が絶えなかった。
 子煩悩な朋信さんと世話好きのトメヲさんは、子どもだけでなく地域の人にも慕われていた。
 震災当日、朋信さんとトメヲさんは海岸から数十メートルの自宅にいた。小高区の幼稚園に勤務していた泉さんは園児を高台に避難させた。両親の無事を祈り続けたが、自宅は津波に流され、2人の行方は分からなくなった。
 泉さんは南相馬市原町区の遺体安置所に通い、手掛かりを捜した。その年の5月から6月にかけて、両親は見つかった。「いつも一緒だったから...」。家族は最後まで連れ添った2人をしのんだ。
 朋信さんとトメヲさんは泉さんの次女の川上愛美さん(29)ら孫の成長を楽しみにしていた。震災後、愛美さんの長男の翼ちゃん(1つ)が生まれた。「2人が生きていれば、ひ孫をどれほどかわいがっただろう。いつまでも私たち家族を見守っていて」。泉さんの心の中で4年前のままの朋信さんとトメヲさんが笑っている。

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