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常に笑顔絶やさず 家族や友人 気に掛ける

■いわき市平薄磯 鈴木弘子さん(50)

 いわき市平薄磯の鈴木弘子さん=当時(50)=は地元の食品製造会社の事務係として一生懸命に働いていた。朝早くに出勤し、夜遅くに帰宅した。職場や家庭で笑顔を絶やさず、いつも家族や友人を気に掛けていた。震災の津波にのまれたとみられている。
 弘子さんは次女の敦美さん(28)と2人で暮らしていた。東京に住む長女の友理さん(30)が未侑(みゆう)ちゃん(5つ)を出産した時は上京し、孫の誕生を喜んだ。近くに住む母の敏子さん(84)は、弘子さんに言われた言葉が今も心に残る。悩みを抱えていた時だった。「母ちゃん、苦労はみんなあるんだよ」。気持ちが楽になった。
 震災当日、弘子さんは同じ薄磯地区にある職場で大きな揺れに襲われた。敏子さんと、同居していた妹のみゆきさん(51)を案じ、急いで車を走らせた。無事を確認すると津波が来ると思い、みゆきさんに敏子さんを高台に避難させるよう伝えた。「津波に気を付けて」と言い残し職場へ向かった。弘子さんは震災から数日後、自宅近くの海岸で見つかった。眠るような穏やかな表情だった。
 敏子さんは現在、薄磯の災害公営住宅でみゆきさんと生活している。笑みを浮かべる弘子さんの写真を飾っている。「弘子の分まで笑顔で元気に生きよう」。毎晩、弘子さんからもらったはんてんを着て布団に入る。

カテゴリー:あなたを忘れない

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