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【震災後初の国勢調査】避難者、作業員どう把握 調査員の確保課題

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後初めて実施される10月の国勢調査で、県と市町村は県内避難者について、仮設住宅は避難元、借り上げ住宅は避難先の市町村が担当することを決めた。調査を円滑に進めるために分担したが、統計調査員の確保や、転居を繰り返す復興事業の作業員らの居住実態の確認など課題は残る。県は近く、作業員宿舎や雇用主に調査業務への協力を求める。

■重複の恐れ
 調査は原則として各市町村が、自らの市町村内を行う。ただ、県内の避難者数は12日現在で6万6329人。避難者を受け入れている市町村にとって新たな負担になる。
 県は市町村と協議し、避難前の地域ごとに入居している仮設住宅は、避難元市町村が調査することにした。住民の見守りや自治会活動で現在もつながりがあり、住民から協力を得やすく、調査がスムーズに進むと判断した。
 住民の帰還に向けた準備宿泊が行われている楢葉町などは、町内と避難先を行き来する住民が多く、重複して集計される恐れもある。県などは調査前に注意を呼び掛ける予定だが、自治体間での調整は課題となる。
 いわき市は双葉郡から約2万4000人の避難者を受け入れている。借り上げ住宅に避難している人も多い。さらに除染や復興事業の作業員数1000人が住んでいるため、市は調査員数を5年前の前回よりも百数十人増やして約2000人態勢で取り組む方針。しかし、昨年10月から調査員を募集しているが、今のところ半数程度しか集まっていない。担当者は「7月までに何とかそろえないと間に合わなくなる」と苦悩する。

■居住先転々
 各市町村は除染や復興事業に当たる作業員の居住状況を正確に把握できないとみる。
 環境省は国直轄除染の作業員数は約1万7000人、県は市町村除染で1万人超が働いているとみている。廃炉作業には東電と協力企業の約1万5000人が登録している。道路や港湾などの復旧工事の作業員も調査対象だ。
 作業員の中には共同宿舎に入らず、一般住宅で暮らす人や宿泊先を転々としている人もみられ、調査は容易ではない。周辺住民とのつながりが薄く、勤務先や帰宅時間帯さえ分からない場合、配布した調査票の回収は難しくなる。
 「どこまで正確に把握できるか分からない」。約3000人の作業員が住んでいるとされる広野町の担当者は不安を口にする。
 県は避難者や作業員と面識のある人を調査員に加えるよう市町村に指導している。具体的には仮設住宅の住民や作業員宿舎の関係者らを想定している。

■どうなる交付金
 原発事故で避難区域が設定された浪江、大熊、双葉、富岡、葛尾、飯舘の6町村は住民避難が続き、通常の算定では人口がゼロになる可能性が高い。このため、地方交付税交付金の大幅な減額が懸念されている。県と町村は激変緩和の特例措置を国に求めている。
 平成12年の火山噴火で全島避難となった東京都三宅村の場合、総務省は特例措置として、災害前に実施した国勢調査の結果に住民基本台帳上の増減率を掛けて推定し、地方交付税を算定した経緯がある。
 同省担当者は「過去の事例を参考にしながら大きな負担を強いることがないようにしたい」と特例措置に前向きな姿勢を示している。

【背景】
 統計法に基づき5年に1度実施される国勢調査は、国内に居住する人を対象とした唯一の全数調査で、大正9年以来、今回で20回目。10月1日現在で3カ月以上住んでいるか、今後住むことになる場所を現住地として人口を算出する。地方交付税交付金の算定や将来人口推計、衆議院小選挙区の画定などの基準となる。5年前の前回調査では、県内で約1万人が非常勤の国家公務員として統計調査員に任命された。今回の調査からタブレット端末などを用いて回答するオンライン調査が導入される。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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