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福島の海未来へ 釣り船再開誓う いわきに避難 富岡の石井さん

いわき市の久之浜漁港に係留中の長栄丸の操舵室に座る石井さん

 東京電力福島第一原発事故で全町避難している富岡町で釣り船「長栄丸」を営んでいた石井宏和さん(39)=いわき市に避難=は双葉郡沖の魚の放射性物質調査などに協力し、漁業の復興に向けて力を尽くしている。東日本大震災の津波で大切な家族を失った。「残った釣り船を生かすことが私の使命」。早期の営業再開を心に誓っている。
 双葉郡沖の海は福島第一原発から20キロ圏内で、試験操業を含め一切の漁業の自粛が続いている。石井さんは民間団体などが魚を調査をする際に長栄丸を出し、県や東電などの海水や海底土のモニタリング調査にも継続的に協力している。「福島の海を、未来につなげられる海にする。それが海に生かされてきた自分の役割だ」。強い信念が自らを突き動かす。
 かつては、秋になるとヒラメ漁が盛んだった。原発事故直後は放射性物質が高い水準で検出された魚種だが、今年協力した調査では食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えたのを見たことがないという。「原発事故から4年7カ月余りが経過し、双葉の海は着実に原発事故前に回復している」と実感している。
 震災直後、自宅で家族の姿を確認した後、津波から長栄丸を守るため、沖に船を出した。船は無事だったが、津波で祖父を亡くした。当時1歳6カ月だった長女は今も行方不明のままだ。家族の元を離れた自分を責め、海の仕事を辞めようと思った。しかし、大きな犠牲を伴いながら守った船だからこそ捨てられなかった。船を生かすことが自分の使命に思えた。
 双葉郡沖の海は熟知している。「船長、楽しかったよ」。客の喜ぶ顔が何よりのやりがいだった。津波で被害を受けた母港の富岡漁港の復旧工事が終わる予定の平成29年度を営業再開の目標に据えている。それまでは、長栄丸をいわき市の久之浜漁港に停泊させ、準備を進める。
 「双葉の海で釣りを楽しんだ客が安全性を広めてくれるはず」。操業自粛が解け、営業を再開できれば、釣れた魚を徹底的に調査し、結果を発信するつもりだ。

■スポット 天神岬スポーツ公園(楢葉町) サイクリング、温泉満喫
 太平洋を高台から望む楢葉町の天神岬スポーツ公園には芝生の公園、サイクリングロードなどがある。公園内の宿泊施設「サイクリングターミナル」と温泉施設「しおかぜ荘」には観光客の姿が見られるようになった。
 公園は眼下に太平洋が広がり、散歩に訪れる町民の姿も。しおかぜ荘は太平洋を見渡せる露天風呂を備える。オートキャンプ場は来年4月に再開予定だ。
 ▽住所=楢葉町北田字上ノ原27の29
 ▽電話=サイクリングターミナル 0240(25)3113、しおかぜ荘 0240(25)5726

カテゴリー:福島第一原発事故

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