福島市土湯温泉町の温泉源泉を利用したバイナリー発電所の落成式は20日、現地で行われた。東北地方で初となる商業用としての稼働開始に復興への願いを込めた。研修や観光目的の来訪者を増やし、温泉街のにぎわいづくりも目指す。
源泉の蒸気と熱水を利用してタービンを回す。1時間当たりの出力は400キロワットで、年間発電量は約260万キロワット(一般家庭500世帯相当)となる。国の再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)で東北電力に売電し、年間約1億円の収入を見込む。
地元企業つちゆ温泉エナジーと元気アップつちゆが管理・運営する。
■温水で道路融雪も
発電時に21度の温水が毎分4千リットル生じるため、冬の道路融雪に使う構想がある。植物の温室栽培や山地での魚介類養殖も検討している。
両社社長の加藤勝一氏は「被災前は観光客が年間23万人訪れたが、現在は年間18万人に減少した。温泉を活用したまちづくりで地域を盛り上げていきたい」と話している。
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落成式には加藤社長、小林香福島市長、若松謙維復興副大臣(参院比例代表、郡山市在住)ら関係者が出席しテープカットした。発電開始のスイッチも押して完成を祝った。
福島民報社から芳見弘一取締役編集局長が出席した。
(カテゴリー:福島第一原発事故)