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【県内仮設住宅】 腐食やシロアリ 12団地 避難者の住環境改善課題

【表】

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故による避難者が暮らしている県内の仮設住宅181団地のうち12団地で、建物が傾く原因になる木製基礎くいの腐食やシロアリ被害が発生している。県の行った一斉点検で初めて明らかになった。住宅入り口に設けた木製スロープの腐食など修繕が必要な箇所はほぼ全ての団地で合わせて633カ所に上り、住環境の改善があらためて課題となっている。

■くいの劣化進む
 県は現在、避難者が生活している仮設住宅187団地のうち、撤去の予定がない181団地を6月下旬から10月下旬にかけて一斉点検した。
 木製基礎くいの腐食やシロアリ被害のあった団地名や世帯数は明らかにしていないが、腐食はいわき市と国見町でそれぞれ2団地、白河市と須賀川市、二本松市で各1団地の計7団地で確認された。シロアリ被害はいわき市の3団地、福島市の2団地、二本松市と南相馬市の1団地ずつの計7団地で発生していた。いわき市の2団地は両方が見つかった。
 現時点で建物への直接的な影響は確認されていないが、くいが劣化すれば建物が傾き、床がゆがむなどして生活できなくなる事態も想定される。このため県は、くいの腐食とシロアリ被害が見つかった団地で、地面を掘り起こすなどして実態を詳しく調べる。シロアリを駆除するほか、木製くいを鋼製の部材で補強するといった対策も検討している。工事が全て完了するのは早くても今年度末になる見通しだ。

■入居2年が前提
 一般住宅では主に鋼製やコンクリート製のくいが使われている。仮設住宅は災害救助法で定められた原則2年間の使用を前提に整備された。このため、鋼製などに比べ工期が短く敷地の原状回復が容易な木製くいを採用したという。
 いわき市の仮設住宅で暮らしている楢葉町の70代の男性は「仮設なので壊れるところが出るのは仕方ない。しっかり修理してほしい」と注文した。

■スロープに傷み
 くいの劣化を除き修繕が必要な箇所は調査した181団地ほぼ全てで見つかった。
 内訳は【表】の通りで、木製スロープの腐食が227カ所で最も多かった。雨どいの詰まりが40カ所、屋外アンテナやエアコンの室外機の固定不良が36カ所などと続いた。「その他」の210カ所には敷地内のアスファルト破損、室内の床のしなり、クロスの剥がれなどが含まれている。
 一斉点検で判明した箇所以外にも、今年4月から10月末まで県には住民から1563カ所の修繕依頼があった。年内の完了を目指して補修作業を続けている。昨年度は4022カ所を修理しており、県の担当者は「時間の経過に伴い、くいの劣化や修繕が必要な箇所はさらに増えるだろう」とため息をつく。

■抜本策なし
 県内の仮設住宅には依然として1万9818人(10月末現在)が暮らしている。災害公営住宅の整備が遅れている上、避難自治体の古里への帰還時期が明確になっていないため、県は今後も相当数の人たちが仮設住宅で生活を続けるとみている。
 しかし、「仮設住宅への受け入れはあくまで応急的な措置」として、建て替えを含めた抜本的な対策は検討していないという。

【背景】
 県内の仮設住宅は10月末現在、25市町村に1万6403戸あり、県が187団地に分けて管理している。災害救助法は入居期間を原則2年以内と定めている。県内では避難者が仮設住宅で生活し始めておおむね4年経過したが、県は災害公営住宅の整備状況などを踏まえ平成29年3月まで延長した。同年4月以降の再延長も検討している。

カテゴリー:3.11大震災・断面

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