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住民帰還後押し 富岡に大手2店出店

富岡町が複合商業施設を整備する現在の「富岡ショッピングプラザTom―とむ」の建物。整備後は住民帰還に弾みがつくと期待される

 東京電力福島第一原発事故に伴い全町避難している富岡町内に平成28年秋以降を目標に整備される複合商業施設にダイユーエイトとヨークベニマルの出店が明らかになった22日、町民や周辺町村の住民に期待感が広がった。住民帰還の前提となる商業施設の姿が現実的となり、双葉郡の首長も郡内復興の後押しになると歓迎した。
 「明るいニュース。希望が湧いてくる」。いわき市に避難している富岡町の本町行政区長の猪狩真さん(70)は、22日に市内で開かれた町の新年賀詞交換会であいさつに立った宮本皓一町長から複合商業施設の進捗(しんちょく)状況を聞いて声を弾ませた。
 町は早ければ平成29年4月の帰還開始を目指している。猪狩さんは「将来的に町に戻りたいが、生活環境が整わなければ難しい」と思っている。商業施設から2キロ程度の距離に自宅があり、車で数分で行ける。「商業施設の充実は帰還の大前提」とダイユーエイトとヨークベニマルの出店を歓迎した。
 昨年9月に避難指示が解除された楢葉町の農業小薬金重さん(61)は現在、いわき市に避難しているが、5月ごろに町内での生活を再開する予定だ。「楢葉町には小さな店しかなく、帰還後に買い物をどうするか心配だった。ダイユーエイトやヨークベニマルが近くにできれば本当にうれしい」と喜んだ。
 川内村の無職草野勝利さん(70)は一昨年、村に戻った。原発事故前は隣接する富岡町でよく買い物をしていたが、今はいわき市まで行かなければならない。「早くできてほしい」と願った。全町避難が続く浪江町の無職田中昭成さん(71)は「浪江町を含め、双葉郡内の他町村の商業施設再開にも弾みがつくのではないか」と期待した。

■周辺町村長も歓迎

 富岡町の宮本皓一町長は「出店者の決断に感謝したい」とした上で、「複合商業施設は住民の利便性の確保に大いに寄与し、住民帰還や町の復旧復興への大きな後押しになる」と意義を強調した。
 富岡町と同じく全域で避難している町村の首長も整備効果に期待を寄せた。双葉町の伊沢史朗町長は「周辺町村の住民にとっても帰還促進の一助になると思う」、大熊町の渡辺利綱町長は「大熊町の隣町でもあり、相乗効果が見込める」と話した。浪江町の馬場有町長は「浪江町の商業施設再生にもつながる動きだ」と歓迎し、葛尾村の松本允秀村長は「村からは少し離れているが、双葉郡の復興にとって明るい話題だ」と喜んだ。
 既に避難指示が解除された楢葉町は平成28年度中に町内のコンパクトタウンに商業・交流施設を整備する予定だ。松本幸英町長は「買い物環境が充実し、楢葉町民の帰還率アップにもつながるのではないか」と語った。一部を除き避難指示が解除されている川内村の遠藤雄幸村長は「双葉郡の中心である富岡町の復興は双葉郡全体にプラスになる。特に川内村東部の住民の多くは原発事故前に富岡町や大熊町で買い物をしており、村民の選択肢が増える」と述べた。
 一時、旧緊急時避難準備区域だった広野町にも商業施設の出店が決まっている。遠藤智町長は「広野町を含めた各町村の商業施設などの拠点施設間で連携を取っていきたい」との考えを示した。

■「復興貢献したい」出店関係者

 主要テナントとして出店するダイユーエイトの関係者は「富岡町は双葉地方の中心地でもあり、大型商業施設ができることで住民帰還が進むことを期待する。復興に貢献したい」と話した。ヨークベニマルの関係者も「町の帰還に向けた計画に賛同し、地元の方々のお役に立ちたいと出店を決めた。長年、県内のお客さまに育てていただいた企業として恩返しができれば」と語った。

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