東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く富岡町は、策定中の帰町計画で、町民帰還を判断する際の考慮要件として、安全の確保、生活に必要な機能回復につながる除染作業や放射線量の推移、公共交通、商業、医療など21項目を設定する。10日、郡山市で開いた町議会全員協議会で帰町計画の素案を示した。
町は早ければ平成29年4月の帰還開始を目指している。計画素案では、町が国、県と避難指示解除時期を協議する際、21項目の考慮要件を総合的に評価し、町議会や町民の声を聞いて判断するとした。
各考慮要件の充足に向け、「安全・安心な生活の再生」「定住の促進」「文化と絆の再生・継承」の3つの基本目標ごとに具体的な施策も掲げた。
計画期間は27年度から31年度までの5年間。31年度末の町内居住人口目標を、復興庁の住民意向調査などに基づき、3000~5000人と設定した。町は19日に町帰町検討委員会を開き、計画を決定する。
素案に盛り込まれた帰還に関する考慮要件は次の通り。
▽安全の確保=除染作業、放射線量の推移、放射性物質に汚染された廃棄物の管理・処分、放射線モニタリングの実施、放射線影響への対応、原発の安全対策、防災・防犯・防火対策
▽生活に必要な機能の回復=ライフライン、道路、公共交通、住宅、商業、介護・福祉、医療、金融・郵便、公益サービス、農業、産業、教育環境、郷土文化、スポーツ・レクリエーション
(カテゴリー:福島第一原発事故)