東京電力福島第一原発事故で全町避難している浪江町の北幾世橋地区で20日、漢方薬などに使われる「甘草(かんぞう)」の実証栽培が始まった。同日、現地で苗植え式が行われた。
地元の総合建設業ニーズが三菱樹脂(本社・東京)、グリーンイノベーション(同)から苗の提供を受け、全量を三菱樹脂に販売する契約栽培となる。将来的には栽培規模を拡大し、甘草生産者組合を発足させる計画という。
式では神事に続き、ニーズの三瓶浩徳社長が「基幹産業の農業の再生につなげたい」とあいさつ。宮口勝美副町長が「成果を上げ、農業復興のシンボルになってほしい」と期待を込めた。
同町出身の渡部寛さん(65)の畑に苗500株を植えた。渡部さんは「原発事故の風評被害はまだあると思うが、甘草が復興の起爆剤になってくれればうれしい」と語った。
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