東日本大震災アーカイブ

富岡で町役場再開 帰還に向け動き本格化

 東京電力福島第一原発事故に伴う富岡町の居住制限、避難指示解除準備両区域の避難指示が4月1日に解除されるのを前に、住民の帰還に向けた動きが本格化してきた。町は6日、役場本庁舎で主要業務を再開し、県は同日、3つの出先機関を4月1日に県富岡合同庁舎に戻すと発表した。31日に両区域の避難指示が解除される浪江町は4月1日に役場の全機能が戻る。
 本庁舎での業務を再開したのは総務、企画、拠点整備、安全対策、産業振興、復旧、復興推進の7課と出納室、議会事務局。約80人の職員が避難先の郡山、いわき両市などからマイカーやバスで町役場に通勤し、業務に当たった。
 宮本皓一町長は職員に訓示し、「6年ぶりの役場庁舎での業務再開は感慨深い。職員が一体となり努力を重ねた成果」とねぎらった上で、「われわれが目標とした4月1日の帰町開始が現実のものとなる。富岡町が新たなステージに進むものと確信している」と復興に向けての決意を述べた。
 税務、住民、健康福祉の各課と教育委員会事務局は27日に業務を再開する。
 富岡町は原発事故により、郡山市のビッグパレットふくしまに役場機能を一時置いたが、平成23年12月に同市大槻町に郡山事務所を開設した。
 4月からは郡山事務所は郡山支所となり、いわき支所とともに避難している町民の窓口となる。

■富岡合同庁舎県出先3機関 4月1日から業務

 県が4月1日に県富岡合同庁舎に戻す出先機関は、ふたば復興事務所(旧原子力等立地地域振興事務所、広野町に移転中)と富岡林業指導所(南相馬市に移転中)、富岡土木事務所(広野町に移転中)。いずれも原発事故に伴い富岡町から移転していた。3機関合わせて職員50人程度が勤務する。内堀雅雄知事が6日の定例記者会見で発表した。
 県は職員用住居として町内の県職員公舎を改修しているが、不足する可能性があるため仮設公舎での対応も検討している。内堀知事は会見で「避難指示解除は復興へのスタートラインだ。拠点を戻すことが住民へのメッセージになる」と述べた。
 原発事故前に富岡町に4つあった県の出先機関のうち、双葉農業普及所は平成29年度も広野町の仮設庁舎で業務を継続する。
 一方、政府は福島地方法務局富岡出張所での登記申請の受付・相談業務、福島富岡簡裁での手続き案内業務の今夏までの再開を目指している。富岡労働基準監督署とハローワーク富岡は29年度中に戻す方針。

■浪江町役場 来月1日全機能集約

 浪江町は4月1日、全役場機能を町役場に戻し、町内の復興を加速させる。
 現在は町役場と二本松市の町役場二本松事務所に分かれて業務を行っているが、町民の帰還開始に合わせて役場機能を町内に集約する形だ。二本松事務所は避難を続ける住民を支援するために残し、窓口機能などを置く。
 役場周辺では昨年10月に仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」がオープンしたほか、27日に町営診療所が開所する。

カテゴリー:福島第一原発事故