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残る課題解決急務 浪江、飯舘、川俣・山木屋、富岡の避難解除

 東京電力福島第一原発事故に伴う居住制限、避難指示解除準備の両区域が31日解除の浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区、4月1日に両区域が解除となる富岡町では、買い物や医療環境の整備、農業や商工業の再生、教育環境の充実など住民帰還に向けて解決すべき課題はまだ多い。

【浪江町】町内には昨年10月に仮設商店街「まち・なみ・まるしぇ」がオープンしたほか、27日には町営浪江診療所が開所した。1日には町役場の全機能が町内に戻るなど生活環境は徐々に回復しているが、商業、医療環境などのさらなる充実が課題だ。
 仮設商店街には飲食店、コンビニエンスストア、雑貨店、コインランドリーなど10店舗が入居している。町内では食料品や日用品の配達サービスも始まっているが、町民からは商店の一層の充実や近場で買い物ができる大型商業施設の開設を望む意見が根強い。町は県、国と連携し施設誘致や整備などを進める。
 町役場隣に開所した浪江診療所では週5回の診療を行っており、最低限の医療環境は確保されたが、入院ができる医療機関は再開のめどが立っていない。
 放射線量への不安を抱える町民も多い。町は局地的に線量が高い場所の追加除染など、住民の要望に的確に対応するよう環境省に強く求めていく。

【飯舘村】環境省による除染は昨年までに終了した。水田などに約230万袋の除染廃棄物が残り、基幹産業の農業再開の妨げとなっている。放射線に対する不安が解消されない要因にもなっている。
 除染廃棄物の3~4割を占める可燃ごみは蕨平地区の減容化施設で焼却できるが、その他の撤去見通しは立っていない。村は同省に除染廃棄物の早期搬出と高線量地点の再除染を求めている。
 人材の確保も課題の一つだ。特別養護老人ホーム「いいたてホーム」は介護職員不足でデイサービス事業の休止が続いている。高齢者らの帰村により需要増加が見込まれるため、村は訪問介護事業者を新たに探している。国などに人材確保の支援を求めている。
 村内唯一の診療所「いいたてクリニック」、8月オープンの「いいたて村の道の駅までい館」への交通手段の確保に向けては村が具体的な検討を進める。

【川俣町山木屋地区】主要産業の農業再開支援が重要課題だ。町は水田などに置かれた約62万袋の除染廃棄物の早期搬出を環境省に求めるとともに、遊休地を含む地区内の農地約900ヘクタールを生かした土地利用型農業を推進する。花卉(かき)ではトルコギキョウや小菊に加えアンスリウムの産地を目指し、風評払拭(ふっしょく)につなげる。イノシシなどの有害鳥獣対策にも力を入れる。
 帰還する住民が少ないと予想される中、防犯・防災体制の再構築など安心づくりの施策も求められる。町は防犯パトロール隊による見守りを継続するほか、生活相談事業を充実させる。万一の火災の際は近隣地区の消防団が応援に当たるなど広域的な防災体制を整える。
 山木屋地区の東端には川俣町と帰還困難区域の浪江町津島地区を隔てるゲートがあり、通行の妨げとなっている。町は交流人口の増加などのため、関係機関に早期撤去を要望している。

【富岡町】町内では昨年3月に宅地除染が完了し、追加除染も今年1月までにほぼ終了した。事後モニタリングの速報値では除染前に比べて放射線量が73%低減。平均は毎時0.53マイクロシーベルトとなった。不安に感じている町民もおり、町は今後も迅速かつ効果的な除染を国などに求めていく。
 医療環境の充実も課題だ。町内では町立とみおか診療所が昨年10月に診療を開始し、富岡中央医院も4月に診療を再開する。入院や手術は二次救急医療機関となる県の「ふたば医療センター(仮称)」が来年4月に開所するまで待たなければならない。町は相双地区の医療体制の速やかな再構築を県などに働き掛ける。
 町は来年4月に町内での学校再開を目標に掲げた。町は保護者らの意向調査を行うとともに、教育環境やカリキュラムを充実させ、児童生徒の帰還につながる魅力的な教育の実現を目指す。

■避難区域段階的に再編
 原発事故直後の平成23年4月に設定された警戒区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域は段階的に再編され、25年8月には帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域となった。

カテゴリー:福島第一原発事故

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