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第一原発凍土壁汚染水低減量 汚染水対策全体の4分の1

 東京電力は1日、福島第一原発の建屋周囲の地盤を凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」の運用で低減した汚染水は一日当たり約95トンで、凍土壁単独による低減効果は汚染水対策全体の4分の1程度との試算結果を発表した。

 凍土壁を運用しなかった場合は雨水や地下水により一日当たり約189トンの汚染水が発生するが、運用に伴い約93トンに抑制されているとした。
 福島第一原発では凍土壁の他、建屋周辺で地下水をくみ上げる「サブドレン」や「地下水バイパス」など対策を複数講じている。複数の対策を合わせた低減効果は一日当たり約380トンと見積もった。
 東電の増田尚宏福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者は記者会見で、汚染水発生量は凍土壁運用後に大幅に低減していると強調。運用しない場合は、さらに多量の汚染水が生じ、タンク建設や汚染水処理などに350億円以上の費用が必要だったとした。
 凍土壁は1~4号機の周囲の地中約1.5に凍結管を埋め、冷却材を循環させて地盤を凍らせている。昨年8月に全区間で運用を開始したが、大雨時に汚染水が増加している。

■妥当性の検証必要
 汚染水対策の「切り札」とされる凍土遮水壁の効果は、限定的と言わざるを得ないものだった。専門家からは対策の見通しの甘さを指摘する声が上がる。
 東電は、サブドレンなどの対策と凍土壁を組み合わせた結果、凍土壁運用前は一日当たり約490トンだった汚染水発生量が約110トンに減り、約380トンの低減効果があったとした。だが、凍土壁単独の効果は4分の1ほどだった。
 低減効果の試算には、渇水期のデータを用いた。汚染水は大雨時に増加する傾向にある。降雨期のデータを用いれば、凍土壁の効果はさらに限定的となるだろう。
 凍土壁の費用対効果は十分-と東電は説明するが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構で廃炉等技術委員を務める角山茂章氏は「一定の効果はある。だが、上部からの雨水浸入に弱い。汚染水対策の見通しの甘さを露呈した」と指摘した。
 建設に350億円を費やし、維持に年間十数億円を投じる。建設や見回りに従事する作業員の被ばくも無視できない。対策の妥当性の検証が必要だ。(本社報道部・佐藤紘亮)

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