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【震災から7年】「避難区域」生活環境の改善急務

【上】大熊町の第1次復興拠点に位置付けている大川原地区に整備する町役場新庁舎周辺の完成イメージ【下】産業交流センターなどが整備される双葉町中野地区復興産業拠点の完成イメージ模型


■新年度に新庁舎着工 大熊町

 大熊町は第一次復興拠点に位置付けている居住制限区域の大川原地区の整備を進めており、2018(平成30)年度当初にも、町役場新庁舎の建設を始める。

 新庁舎周辺の完成イメージ図によると、庁舎は鉄骨二階建てで、延べ床面積は約5480平方メートル。町長室や議場、交流の場となる「おおくまホール」が入るA棟と災害対策室を備えるB棟からなる。庁舎前には防災広場「みんなの原っぱ」を設けた。2019年3月の完成、同年4月の供用開始を目指している。

 地区内には交流施設や商業施設なども整備予定で、町は2017年度内に基本計画をまとめる。3月末にはイチゴ栽培工場が着工する。

 帰還困難区域内の特定復興再生拠点では、3月上旬から国費による除染が始まる。対象は拠点の面積全約860ヘクタールのうち、下野上地区の西側約156ヘクタール。同拠点は2022年春ごろまでの避難指示解除を目標としている。大川原地区の復興拠点とつながる県道周辺やJR大野駅近辺はJR常磐線の全線開通などを見据え、2019年度末までに先行して解除する方針。町は2018年度から大野駅の改修にも着手する。


■復興拠点認定で除染や解体前進 双葉町

 双葉町は帰還困難区域内の社会基盤などを整備する特定復興再生拠点区域(復興拠点)に町面積の1割程度に当たる約555ヘクタールが認定され、除染や建物解体などの申請が始まった。

 昨年12月には常磐自動車道双葉インターチェンジ(仮称)とJR常磐線双葉駅周辺、中野地区などを結ぶ県道井手長塚線などで国直轄による除染が始まった。早ければ3月中にも双葉駅の東側約90ヘクタールの除染と建物解体に着手する。双葉駅西側約40ヘクタールは復興拠点認定前に環境省による除染が済んでおり、東側の除染が完了すれば復興拠点内約23%で除染が完了する。

 町は2019年度末に双葉駅周辺などの避難指示を先行して解除し、2022年春ごろまでに復興拠点全域の解除を目指す。解除から5年後の居住人口は2千人、事業所の開設は50社を目標としている。

 避難指示解除準備区域の中野地区では産業再生や情報発信の場となる復興産業拠点の整備が始まった。2020年までに県のアーカイブ(記録庫)拠点施設や町の産業交流センターなどの供用開始を目指すほか、東電福島復興本社が移転する。

 町外拠点と位置付けるいわき市勿来町の県営災害公営住宅では2月から入居者への引き渡しが始まり、町内外で復興に向けた動きが進展している。


■旧避難区域6地域の現状

 【葛尾村】
 2016年6月に居住制限、避難指示解除準備両区域が解除され、今年2月1日現在、1439人のうち212人が帰還している。

 内科診療所や飲食店、商店が再開しており、生活インフラは震災前の環境に近づいている。

 復興交流館や農業用の倉庫、防災備蓄倉庫も間もなく整備が完了する予定になっている。

 村は今後、震災前に盛んだった農畜産業の再興を図るとともに、インフラ整備などをさらに進めて1日も早い村民の帰村を促していく。


 【川内村】
 社会基盤が整い、医療福祉施設や商業施設などが震災と原発事故以前より充実してきた。1月末現在、人口2716人のうち2200人が村内に戻っている。帰還率は8割を超えた。50代以上の帰還率に比較し、子育て世代とその子どもらの帰還率は低い。村は若い世代の帰還を促すため、働く場となる企業誘致を進めている。小中一貫の導入など教育環境の充実、保育所に通わせず自宅で子育てしている世帯に対する補助制度の創設など子育て支援を拡充し、新たな住民の定住促進を目指している。


 【楢葉町】
 2015年9月に避難指示が解除されてから2年半が経過し、今年1月末現在、7140人のうち約3割の2270人が町内での生活を再開した。3月末で仮設住宅や借り上げ住宅の供与期限が終了する。

 社会基盤はおおむね順調に整備されているが、町が「笑ふるタウンならは」内に整備している商業施設の完成は当初の計画より約2カ月遅れる見通しとなっている。

 基幹産業である農業の再生に向け、営農再開意欲のある農家に対する支援が必要となっている。


 【広野町】: 昨年3月で仮設住宅や借り上げ住宅の供与期限が終了した。今年1月31日現在、人口約4896人のうち8割を超える4069人が古里での生活を再開している。

 町内には廃炉事業や復興事業に従事する住民票を持たない住民が約3000人、近隣町村の住民約500人が生活しており、震災と原発事故前の人口の2倍近い住民が生活している。

 廃炉には今後、30年から40年かかるとみられており、以前からの町民と新たな住民との共生をいかに進めていくかが課題となっている。


 【南相馬市・小高】
 原町区の一部と小高区の全域で2016(平成28)年7月、居住制限、避難指示解除準備の両区域が解除された。小高区は今年1月12日現在、住民登録人口8575人のうち、2429人が居住している。居住率は28.3%。

 小高区では2017年4月に幼稚園、小中学校が再開。小高産業技術高が開校した。一方で住民の半数近くは高齢者で、本格的なスーパーマーケットがなく、交通手段が少ないため生活環境の整備が課題となっている。市は区内で商業施設と復興拠点の整備を進めている。


 【田村市・都路】
 都路町では全ての避難指示が解除されて4年を迎える。町内の人口2389人のうち2076人が帰還し、帰還率は86.9%となっている。

 震災以前は農林・畜産業や東京電力の関連会社を含めた双葉地方への出稼ぎなど2世帯、3世帯が同居して生計を立てる世帯が多かった。人口は減少しているが自然減のほか、核家族化の進行や就労先の減少などで子育て世代が住みにくい環境が要因に挙げられる。持続的な地域を目指すには、核家族でも安心して暮らせる新たな生活モデルの確立が求められている。

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