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【震災から7年】「社会基盤」 東北中央道整備進む

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により県内の道路、鉄道、港湾など県民生活を支える社会基盤は大きな被害を受けた。「3・11」から間もなく7年となる現在、国が復興支援道路に位置付ける東北中央自動車道「相馬福島道路」の整備が進み、10日には相馬市の相馬玉野インターチェンジ(IC)と伊達市の霊山IC間の17・0キロが開通する。JR常磐線は2019年度末までの全線開通を目指し復旧を急いでいるほか、サッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町・広野町)の近くに常磐線の新駅を設置する計画も新たに発表され、復興を後押しする施設として期待されている。

■相馬玉野IC-霊山IC 10日に開通

 相馬福島道路は常磐自動車道相馬ICと東北自動車道福島北ジャンクション(JCT)間をつなぐ。全長は45・7キロに及ぶ。
 10日に開通するのは相馬市東玉野の相馬玉野ICから霊山飯舘ICまでの5・0キロと、霊山飯舘ICから霊山ICまでの12・0キロの計17・0キロ。開通式典は10日午前10時から霊山ICで行われる。相馬玉野-霊山IC間の一般車両通行開始は10日午後3時から。相馬山上-相馬玉野IC間の10・5キロは昨年3月26日に開通しており、今回の開通区間を合わせると全体の約6割の27・5キロが通行可能になる。
 残る相馬-相馬山上IC間の6・0キロは2019年度に開通予定。霊山IC-福島北JCT(仮称)間は用地交渉や地盤改良工事などを進め、2020年度の開通を目指している。
 相馬福島道路は全区間が通行無料となる。

■医療や物流波及期待 中通りと浜通りの"距離"縮まる

 相馬福島道路の相馬玉野-霊山IC間が開通することにより、相馬、福島両市間の所要時間は約20分短縮される。中通りと浜通りの"距離"は一層縮まり、観光や物流、医療などさまざまな面で波及効果が期待されている。
 相馬、福島両市間を結ぶ115号国道は急カーブや急勾配の区間が連続し、災害などの際は通行止めが起きていた。
 国土交通省福島河川国道事務所によると、昨年3月26日に相馬山上-相馬玉野IC間が開通するまで急カーブは105カ所、大型車両がすれ違うのが困難な幅員狭小区間は8・4キロに上っていた。相馬山上-相馬玉野ICの開通により急カーブは56カ所、幅員狭小区間は5・5キロに減少。さらに相馬玉野-霊山IC間の開通に伴い急カーブは6カ所、幅員狭小区間はなくなる。
 急カーブや幅員狭小区間の解消は救急医療の環境を向上させる。相馬、南相馬、新地の3市町から第3次救急医療施設への搬送件数は2009(平成21)年から2016年までの8年間で920件。このうち約8割に当たる713件が福島医大がある福島市方面だった。一刻を争う救急医療で所要時間を短縮できれば、患者の命を救う可能性が高まる。さらに急カーブや急勾配区間が解消すれば救急搬送時の患者への負担も軽減される。
 浜通りを中心に物流や観光振興に期待する声も上がっている。中通りと浜通りに加え、山形県や宮城県も含めた広域的な観光周遊が可能となる。相馬福島道路の整備に伴い、車両の荷崩れや横転などの危険性が低くなり、運転者の精神的負担も軽減されると見込まれている。
 福島河川国道事務所は「中通りと浜通りの物流を支える大動脈として機能し、走行性の向上や時間短縮による物流効率化で企業活動を後押しできるのではないか」と期待している。
 東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域などの復興事業促進、中間貯蔵施設(大熊町・双葉町)への除染廃棄物輸送の円滑化などにもつながるとみられている。6月10日に南相馬市で開かれる全国植樹祭の会場へのアクセスも向上する。

■ふくしま復興再生道路 10工区完成残り19工区

 県は道路網整備で復興を後押しするため、中通りと浜通りを結ぶ主要な国道と県道の計8路線を「ふくしま復興再生道路」と位置付け、道路のバイパス工事や拡幅などを進めている。全29工区のうち、2017(平成29)年度は県道原町川俣線の八木沢工区が完成し、これまでに計10工区で整備を終えた。県は残る19工区について平成30年代前半までの完成を目指している。
 県道原町川俣線八木沢工区は南相馬市原町区大原と飯舘村八木沢を結ぶ八木沢トンネル(延長2345メートル)を整備した。18日に開通し、一般車両の通行開始は午後3時からとなる。
 現道の八木沢峠は急勾配と急カーブが連続し、路面凍結によるスリップ事故や渋滞が相次ぐなど交通の難所となっていた。八木沢工区の完成により、原町川俣線は全3工区で工事が完了した。2018年度は新たに大熊町の288号国道野上小塚工区で着工する。
 八路線の開通により、原発事故に伴う避難区域やその周辺での広域的な物流が円滑化し、産業や医療など多方面への波及効果が期待されている。

■福島大笹生IC-米沢北IC 昨年11月開通、観光促進

 東北中央自動車道の福島大笹生IC(福島市)-米沢北IC(山形県米沢市)間の35・6キロは昨年11月4日に開通した。
 東北中央道は相馬市と秋田県横手市を結ぶ総延長約268キロの高規格幹線道路。福島、米沢両市役所間の所要時間は約40分となり、従来より約20分短縮された。
 開通区間のうち、福島、山形県境部の福島大笹生IC-米沢八幡原IC(米沢市)間は開通後1カ月で1日平均約1万百台が利用した。福島・山形両県を結ぶ13号国道と合わせた県境付近の交通量は開通前と比べて1日平均約4400台増え、約1万2400台となった。
 国土交通省福島河川国道事務所は「観光交流の促進に寄与している」とみている。

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