原発事故に伴う除染廃棄物を一時保管する中間貯蔵施設(大熊、双葉町)を訪れた。
中間貯蔵施設には搬入された除染廃棄物を土壌と草木などに分ける「受け入れ・分別施設」と、分別された除染土壌を保管する「土壌貯蔵施設」がある。昨年10月に除染土壌の受け入れが始まった大熊二工区の土壌貯蔵施設では、1月末現在で約1万500立方メートルが埋め立てられていた。重機が土ぼこりを巻き上げ行き交う埋め立て地は荒涼とし、かつて農地だった痕跡はない。
昨年6月に試運転を始めた大熊工区の受け入れ・分別施設では現在、1時間当たり約140トンの廃棄物の処理が進む。施設に運ばれたフレコンバッグはベルトコンベヤーに等間隔に並べられ、ゆっくりと分別設備へ移動される。その先では、放射性セシウムを検知する大型の機械が除染土壌を放射能濃度に応じて振り分けていた。同行した環境省の担当者は、「2016(平成28)年に示した見通しの最大値ペースで輸送が進んでいる」と語った。
国は、中間貯蔵施設で除染廃棄物を最長30年保管した後、再生利用などしながら可能な限り量を減らし、県外で最終処分する計画だ。しかし、肝心の最終処分地がどこにできるのか、選定作業は進んでいない。仮に最終処分先が決まったとしても、これだけの汚染土壌を再び掘り起こして、移送し、原状回復する作業は容易ではない。
国が地元住民、県民との"約束"をいかに果たすのか、注視していかなければならない。(本社報道部・吉田 雄貴)
(カテゴリー:震災から7年)