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【震災から7年】「福島第一原発」格納容器 解明徐々に カメラ付きパイプで調査

調査に使ったカメラの模型

■確実な手法が奏功
 2号機の内部調査は、カメラを取り付けたパイプを原子炉格納容器の横から挿入し、燃料デブリを撮影した。作業員の手で直接、差し入れる原始的とも言える手法だが、装置の機能を限定することで確実性が高まり、調査成功をもたらした。

 パイプは直径約11センチ、長さ約13メートルで、先端が折れ曲がり、伸縮する。先端にあるカメラはケーブルで上下に動く「釣りざお」方式になっている。原子炉格納容器の貫通部から圧力容器の真下までカメラを差し入れ、作業用足場の脱落部分から格納容器の底部に迫った。カメラは水平方向360度、垂直方向120度を捉えることができ、重要免震棟に設けた操作室で作業員がモニターを見ながら遠隔で操った。

 パイプを使った調査は2017年1月にも2号機で実施された。作業用足場が広範囲に脱落、変形している様子などを確認したが、燃料デブリは見つからなかった。今回はカメラとともに先端に付けた照明を可動式にしてカメラの視野を広げ、鮮明な動画の撮影につなげた。格納容器内の空間放射線量は毎時7〜8シーベルトと極めて高い。カメラを制御する半導体は放射線に弱いため、必要最小限の数にとどめるなどの工夫も凝らされている。


■カメラ付きパイプ開発 最先端技術詰め込む 東芝エネルギーシステムズ

 カメラ付きパイプの開発に携わった東芝エネルギーシステムズ(横浜市)の露木陽さん、中原貴之さん、浦西敦義さんに開発の苦労や調査当日の様子などを聞いた。

 −2号機調査で初めて燃料デブリを確認できた。調査結果をどう受け止めているか。

 「燃料デブリの可能性が高い堆積物を撮影できたほか、格納容器内の様子を広範囲に確認できた。格納容器内には制御棒駆動機構を交換するための装置などがほぼそのままの形で残っていた。廃炉作業の最難関である燃料デブリの取り出しに向け、今後どのような調査が必要になるのか検討するための幅が広がった」
 −ロボットではなくパイプを用いた理由は。

 「燃料デブリを撮影するために必要な機能を分析し、最も簡易で、確実な手法を考えた結果だった。装置は原始的に見えるが、最先端技術が詰め込まれている。カメラは放射線に弱い半導体を極力減らし、累積で1000シーベルトまで耐えられる設計だ。動きを制御する半導体を減らしたため、撮影カメラそのものの動きを確認する監視カメラも搭載した」
 −調査当日はどのような雰囲気で作業が進んだのか。

 「作業は重要免震棟にある操作室で行った。作業開始から3時間ほどで燃料デブリと思われる堆積物が見つかった。遠隔で操作する作業員に重圧を与えないように、ざわつくことはなく、作業は淡々と進んだ」
 −装置は1号機や3号機にも活用できるのか。

 「今回の装置は2号機の状況を考え抜いた末、たどり着いた結論だった。格納容器内の構造や水位などの状況がそれぞれ異なるため1、3号機で適用できるとは簡単には言えない。調査は1日で終えたが、除染や放射線を防ぐための遮蔽(しゃへい)体を設置したり、原子炉格納容器の貫通部に挿入用の穴を遠隔操作で開けたりする困難な作業もあった。多くの作業工程が順調に進んだ結果、撮影できた」

■廃炉作業ルポ 3号機使用済み燃料 搬出へ正念場

 3号機原子炉建屋に取り付けが完了したばかりの上部カバー内を取材した。今秋の使用済み核燃料プールからの燃料取り出しに向けた作業は、大詰めを迎えている。


 入退域管理棟からバスで5分ほど走ると、プレハブ小屋に案内された。かまぼこ型のカバーが乗った3号機からは直線距離で約200メートル。鼻と口を覆う半面マスクを装着し、真っ白な防護服に袖を通した。東電は2016(平成28)年3月、構内を放射能汚染の状況に応じて3つの作業エリアに分けた。一般作業着にベストと防じんマスクのみで作業できる「グリーン(G)ゾーン」は敷地面積の約95%を占める。「イエロー(Y)ゾーン」は半面マスクか顔全体を覆う全面マスクに、防護服を一枚着用する。最も汚染度が高い「レッド(R)ゾーン」には全面マスクと防護服を二重に着込まなければならない。今回取材した3号機原子炉建屋周辺はYゾーンに分類される。エリア分け後、これまで6回、第一原発敷地内に入構したが、全てGゾーンでの取材だった。防護服を着用し半面マスクと仰々しい姿で1〜4号機に目をやると「事故は収束していない」と実感した。

 3号機に外付けされたエレベーターで地上約30メートル地点まで昇り、カバー内に足を踏み入れた。内部は薄暗く、足元を仮設の蛍光灯が照らす。プール内で燃料を輸送容器に移す燃料取扱機と、容器を建屋外に運び出すクレーンはビニールが巻かれたまま静かにその出番を待っていた。東電担当者が持つ線量計は毎時110マイクロシーベルトを示した。担当者は「事故直後は最大で毎時2000ミリシーベルトあり、人は立ち入ることはできなかった。除染や遮蔽(しゃへい)対策により、今では1〜2時間の作業が可能になった」と作業の進捗(しんちょく)を強調した。

 「ピューーーッ」。ドームに入って数分後、甲高い電子音が響いた。事前に渡された警報付き線量計(APD)は、積算で20マイクロシーベルト被ばくするごとに警告音が鳴る。目に見えない物質を体に浴びているのは、決して気分がいいものではない。使用済み燃料プールの周囲に移動し中をのぞき込んだが、少ない光量と濁った水のせいで内部の燃料566体の姿を捉えることはできなかった。空間放射線量は毎時700マイクロシーベルトに上った。依然として高い線量が作業の行く手を阻んでいると感じた。東電担当者がAPDを確認した。「もう戻りましょう」。わずか20分ほどで、現場を後にした。

 プールからの燃料取り出しが始まれば1〜3号機では初めてとなる。東電は作業員の訓練を重ね、被ばく低減のため遠隔操作で取り出しを完了させるとしている。3号機での作業が成功すれば、2023年度を目標としている1、2号機の取り出しにもはずみがつく。しかし、遠隔による前例のない工程がスムーズに進むかどうかは不透明だ。「作業は順調に進んでいる」と話す担当者の言葉をうのみにするわけにはいかないだろう。(本社報道部・服部 鷹彦)

■県の廃炉要請20回超に 福島第二原発 東電は方針明確にせず

 県や県議会は東電に対し、福島第二原発を廃炉にするよう再三にわたり要請しているが、東電は方針を明確にしていない。県からの要請は20回を超えている。

 内堀雅雄知事は1月5日、県庁で東電の川村隆会長、小早川智明社長と会談し、「県内原発の全基廃炉は県民の強い思いと受け止めてもらい、判断してほしい」と求めた。小早川社長は「大変重く受け止めている。社内で検討しており、可能な段階になったら改めて報告する」と述べたが、廃炉にするかどうかは言及しなかった。


■3号機建屋内ドローン調査 立ち入り可能な線量

 東京電力が3号機の原子炉建屋内で小型無人機「ドローン」を飛ばして行った調査の結果、一階から3階部分の空間放射線量は毎時10〜15ミリシーベルトで、人が立ち入り、廃炉作業を行える範囲だったことが分かった。

 東電は放射線量計やカメラを取り付けたドローンを建屋1階から投入し、3階までを上下させて線量やがれきの飛散状況を調べた。線量は1階が毎時15ミリシーベルト、2階が10ミリシーベルト、3階が14ミリシーベルトだった。

 労働安全衛生法は原発で働く作業員の被ばく線量について、5年間で100ミリシーベルトかつ年間50ミリシーベルトを上限と定めている。東電は、今回調査した範囲に人が立ち入って短時間の作業をすることは可能と説明している。

 一方、長時間作業する場合には、遮蔽(しゃへい)物の設置や除染などの対策が必要だとした。

 3号機は燃料デブリが原子炉格納容器や圧力容器内に残っている。今回の調査範囲は格納容器や圧力容器の横側に当たり、作業員の立ち入りが可能となった場合、燃料デブリの取り出しに向けた作業がしやすくなるとみられる。


■凍土壁単独では低減効果限定的 汚染水抑制

 東京電力は1日、福島第一原発の建屋周囲の地盤を凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」の運用で低減した汚染水は1日当たり約95トンで、凍土壁による低減効果は他の手法を含めた対策全体の4分の1程度との試算結果を示した。国費約350億円を投じて建設された凍土壁は、単独では効果が限定的との見方が強まりそうだ。

 東電が公表した凍土壁単独による効果の試算では、凍土壁を運用しなかった場合は雨水や地下水により1日当たり約189トンの汚染水が発生するが、運用に伴い約93トンに抑制されているとした。

 福島第一原発では凍土壁の他、建屋周辺で地下水をくみ上げる「サブドレン」や「地下水バイパス」など複数の対策を講じている。これらの対策を合わせた低減効果は1日当たり約380トンと見積もった。

 東電の担当者は凍土壁運用後に汚染水発生量が大幅に低減していると強調。運用しない場合、さらに大量の汚染水が生じ、タンク建設や汚染水処理などに350億円以上の費用が必要だったと説明した。

 凍土壁は1〜4号機の周囲約1・5キロの地中に凍結管を埋め、冷却材を循環させて地盤を凍らせる仕組み。東電は2016(平成28)年3月の運用開始以降、段階的に稼働範囲を広げ、昨年8月に全ての区間で凍結を開始した。汚染水発生量は渇水期は少ないが、降雨期に急増する状況が続いている。

カテゴリー:震災から7年

3号機原子炉建屋上部に取り付けられたカバー内部。使用済み核燃料プールの周囲の空間放射線量は毎時700マイクロシーベルト近くに上る

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