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【震災から7年】「廃炉」2号機でデブリ確認 小石状の堆積物 東電が断定

2号機原子炉格納容器の底で見つかった燃料集合体の一部(矢印の部分)とその周辺の溶融核燃料と思われる堆積物

 東京電力福島第一原発事故から7年が経過する中、1、2、3号機原子炉格納容器内の状況が少しずつ分かってきた。2号機は今年1月の調査で溶融核燃料(燃料デブリ)を初めて確認、3号機では昨年7月に燃料デブリとみられる堆積物を撮影した。ただ、広範囲に広がっている核燃料の一部を捉えたにすぎず、さらに詳しい実態把握が急務だ。一方、原発構内ではほとんどの場所でベストと防じんマスクのみで作業が可能となるなど環境は着実に改善している。


 2号機原子炉格納容器の調査は、1月19日にカメラ付きパイプ(長さ約13メートル)を差し込む手法で実施し格納容器の底で小石状の堆積物を撮影した。東電の担当者は「事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)ではないという方が難しい」と述べ、事実上、燃料デブリと断定した。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1、2、3号機のうち、東電が燃料デブリと断定したのは初めてとなった。

 東電が公開した画像には、格納容器の底部付近で小石状の物体が広範囲に広がっている様子が写っていた。色は茶色や赤茶色で、水中ではなく気中に堆積していた。本来は原子炉内にあるはずの、燃料集合体と呼ばれる機材の一部が落下している状況も確認された。

 東電の担当者は小石状の物体を燃料デブリと判断した理由について、元々は原子炉内にあった燃料集合体が周囲に落ちていた点を挙げた。溶融核燃料が急速に冷やされた場合に小石状の形になる−とする米国・スリーマイルアイランド原発事故の知見も踏まえたとしている。

 東電は2号機の燃料デブリについて、物質を通り抜ける宇宙線の一種「ミュー粒子」による調査やコンピューター解析から、大部分が圧力容器内に残る一方、一部は圧力容器の底を突き抜けて格納容器の底付近に落下したと推定していた。今回の調査結果はこれを裏付けた格好となる。


■デブリの取り出し 2019年度に工法確定
 東電は1、2、3号機に残る燃料デブリの取り出しについて、2019年度に詳細な工法を確定し、2021年以降、いずれかの号機から搬出する目標を示している。ただ、今回の調査結果だけでは取り出し手法の確定は難しいとみられ、さらなる調査と分析が求められている。


■格納容器底部に堆積物 3号機 水中ロボ調査で判明

 3号機は原子炉格納容器底部に原子炉の冷却に使った水が底から6メートル以上たまっており、昨年7月に水中ロボットを用いて調査した。東電が公開した画像では、格納容器の底付近で溶融物が固まったような岩状や砂状の堆積物が広範囲で確認された。色は赤茶色やオレンジなどで、約1メートル堆積している場所もあった。

 本来は圧力容器の真下にあるはずの作業用足場やパイプ状の構造物などが格納容器の底で複数見つかった。燃料デブリ取り出しの障害になる可能性がある。極めて高い放射線量の中で燃料デブリや構造物を解体する機器や、放射性物質を外部に飛散させないための技術の開発が急がれる。

 一方、1号機は「ペデスタル」と呼ばれる圧力容器の土台の内側だけでなく外側にも燃料デブリが広がっているとみられている。東電は昨年3月に自走式ロボットで調査し格納容器底部の水中を撮影したが、燃料デブリは捉えられなかった。実際に燃料デブリがペデスタルの外側に広がっていた場合、取り出し手法が複雑化するとみられている。


■使用済み核燃料 取り出しへ作業進む

 1、2、3号機では使用済み核燃料プールに残っている核燃料の取り出しに向けた作業も進んでいる。3号機では2018(平成30)年度半ばに取り出しに着手する予定だ。

 水素爆発で原子炉建屋上部が大破した3号機の使用済み核燃料プールには、強い放射線を出す使用済み核燃料と未使用燃料の合わせて566体が残っている。燃料デブリの搬出をはじめとする今後の廃炉作業を安全に進めるため、東電は燃料を取り出して4号機南西側にある共用プールに移す。

 3号機プールからの燃料取り出しは当初、2014年末に開始する予定だったが、東電は3度にわたり開始時期を延期してきた。

 燃料取り出しは遠隔操作で実施する。プール内に残るがれきを除去しながら燃料を取り出さなければならず、難航も予想される。

 一方、1、2号機の使用済み核燃料プールからの燃料取り出し開始時期は「2023年度めど」としている。政府が昨年秋の中長期ロードマップ(工程表)改定で2020年度から3年間延期した。

 1号機は建屋上部を覆っていたカバーを取り外し、防風フェンスで覆った上で1月に本格的ながれきの撤去に着手した。2021年度までに全てのがれきを取り除く計画となっている。使用済み核燃料プール上にはがれき以外に燃料取扱機などの重機が損傷した状態で残っているほか、格納容器のふたを覆う円板にずれが生じており、作業の難航も懸念される。

 2号機は建屋内の放射線量の低減が必要で、建屋上部の壁をくりぬいて清掃などを進める方針だ。

■県原子力対策監 角山茂章氏に聞く デブリの性状分析必要

 1、2、3号機では燃料デブリの取り出しに向けた調査が進んでいる。県原子力対策監を務める角山茂章氏(74)に今後の課題について聞いた。

 −2号機の内部調査で、燃料デブリとみられる物体を初めて捉えた。

 「燃料デブリがどこにどれだけあるかの情報は特に重要だ。撮影した映像を基に量を大ざっぱに推定できるため、取り出しに向けた第一歩と言える。燃料デブリが再び核分裂を始めて大量の放射線を出す『再臨界』が起きる可能性もゼロとは言えない。早い段階で採取し成分や性質を分析するべきだ。燃料デブリを細かく切る機器の選定などにも役に立つ」
 −政府は燃料デブリ取り出しについて、格納容器を水で満たさない「気中工法」を軸に進め容器底部横側から始める方針を廃炉工程表に明記した。

 「現実的な方法と言える。格納容器を水で満たせば放射性物質の拡散を防げる一方、燃料デブリに触れた水が容器の隙間から漏れ出す恐れがある。隙間を埋める方法もあるが極めて高い放射線量の中で作業する必要があり、従事者の被ばくリスクが大き過ぎる。燃料デブリの取り出しに向け放射性物質を外部に漏らさないための二重、三重の対策を考えなければならない」
 −燃料デブリの最終処分に関する議論は始まっていない。この現状をどう受け止めるか。

 「まずは取り出してリスクを減らすのが先決だが、いずれは当然、考えなければならない。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の廃炉等技術委員会には最終処分の専門家がいる。将来的にはNDFを中心に議論が進んでいくのだと思っている」

 つのやま・しげあき 東京都出身。東京大理学部卒。東芝原子力研究所などを経て2006年から2014年まで会津大理事長兼学長。2013年に県の非常勤特別職「原子力対策監」に就いた。原子力損害賠償・廃炉等支援機構の廃炉等技術委員も務めている。74歳。

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