四日の陸上日本選手権男子一万メートルを日本新記録で初制覇し、東京五輪の参加標準記録を突破して代表に内定した相沢晃選手(23)=旭化成、学法石川高出身=は五日、大阪市内で記者会見した。「選ばれたからには結果を残すのが使命。一つでも上の順位を目指す」と自国開催の大舞台に意欲を見せ、東日本大震災の被災者に元気を届けると誓った。
■陸上日本選手権男子1万V会見
相沢選手は女子一万メートルの新谷仁美選手(32)=積水化学=、同五千メートルの田中希実選手(21)=豊田自動織機TC=と共に、サンライズレッドの日本代表ウエアで登場した。冒頭、「自分が本当に優勝したのかという感じ。すごく興奮というかドキドキしている」と爽やかに語った。
祖母を今年亡くしたと明かした。四日は長沼中時代にスポ少「円谷ランナーズ」で指導を受けた芳賀敏郎さんの命日でもあり、「すごく大切な大会だった」と振り返った。「『天国で背中を押してくれてたね』というメールを多くの方からいただいた」と感謝した。
相沢選手にとって初の五輪は、東日本大震災から十年が過ぎた後に迎える舞台。会見では「ダム(藤沼湖)が決壊して家の前の道路に川の水が流れてくる怖い思いをした」と長沼中一年時の記憶をたどった。
その上で、「自分は箱根駅伝を見て勇気づけられた。今度は自分が五輪で、被災した方々に元気を届ける走りをしたい」と決意を示した。
■入賞へ自分を高めたい 課題のスピード磨く
相沢選手は会見で、五輪での目標や世界レベルで戦うための課題などを語った。
-東京五輪は人生の中で、どのような舞台か。
「五輪の延期で、自分に運が向いてきたと感じた。同じ須賀川市出身の円谷幸吉選手と同じく一万メートルで入賞できるよう、一段階、二段階、自分を高めたい。まだ開催できるか分からない状況だが、反対していた人も終わってみれば開催して良かったと思えるようなパフォーマンスを見せる」
-五輪までに必要な練習メニューは。
「世界記録(26分11秒00)と比べると一分以上ある。ペースの変化がある世界のレースでも通用する練習が必要。苦手な五千メートルや三千メートルに焦点を絞ってトレーニングする。課題はスピードなので、春先から五千メートルにしっかり取り組んで五輪代表を目指す。それが一万メートルで世界に通用する力を磨くことになる」
-元日の全日本実業団対抗駅伝への意欲を。
「トヨタ自動車が強いと言われているが、旭化成は絶対負けない気持ちを一人一人持っているので五連覇を目指す。大学三年生(の全日本)から区間賞を取り続けているが、区間賞では満足できない。最低限として区間新を狙う」