東京五輪の聖火リレーは十五日、島根県で二日間の日程で始まった。二十四府県目。政府の新型コロナウイルス対応への疑問を理由に丸山達也知事が一時、中止検討を打ち出したが、姿勢を転換して容認した。ランナーは「山陰の小京都」と称される津和野町からスタートし、隠岐諸島へと聖火をつないだ。
白壁の土蔵が立ち並び、文豪の森外らが学んだ藩校も残る津和野町では、町の医療を守ろうと山口市から通い続けて五年になるという内科医の三輪茂之さん(61)が第一走者を務めた。次女で今回のパラリンピックで視覚障害者柔道に出場予定の広瀬順子選手(30)らの努力が報われることを願い、「リレーで希望の光を届けたい」との思いで参加。緊張気味の笑顔で、出発式の会場から手を振って走りだした。
三輪さんの応援に来た妻の朱美さん(58)は「開催できてよかった。夫が走らせてもらえて、本当にありがたい」と喜んでいた。
丸山知事は、新型コロナのクラスター(感染者集団)がカラオケ喫茶で生じたことを理由に、益田市では沿道からの見物を控えるよう、十四日に県民らへ呼び掛けた。