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【県内選挙区/最前線ルポ】1区 1勝1敗 ぶつかる意地【2021ふくしま衆院選】

2021.10.23 12:32

 衆院選の県内5小選挙区に立候補した10人は31日の投開票に向けて遊説を重ね、有権者に支持を訴えている。新型コロナウイルス対策や今後の経済対策が争点で、県内では復興施策が問われている。各選挙区の最新情勢をルポする。(文中敬称略)

 1区は立憲民主党の前職金子恵美(56)、自民党の前職亀岡偉民(66)による3度目の対決で、小選挙区で一勝一敗の両者がしのぎを削っている。党県連代表として県内全選挙区の野党共闘をまとめた金子のメンツ、政権与党で復興副大臣など要職を務めてきた亀岡の意地がぶつかり合う。

■金子氏 政府施策の不備突く

 「亀岡氏、金子氏の支持拮抗」「亀岡氏、金子氏横一線」。新聞各紙に序盤情勢を伝える見出しが躍った21日、金子は選挙戦のかぎを握る大票田の福島市を遊説し、政府の新型コロナウイルス対策の不備を突いた。

 政権批判票を掘り起こす戦略だ。金子は「失政により労働者や農業者らが苦しんでいる」と強調。東京電力福島第一原発の処理水海洋放出方針に対し「地元の理解が得られておらず、撤回すべきだ」と主張した。

 金子は前回、無所属で亀岡と争い、1万3150票差で前々回の敗戦に雪辱した。今回の目標得票数は前回の12万6664票と同程度に設定。父の故金子徳之介元衆院議員からの地盤である伊達市を中心に票固めを入念に進めている。福島市の選挙事務所には普段着姿のスタッフらが慌ただしく出入りしている。

 前回勝利後、金子はたびたび共産の参院議員とともに街頭演説に立ち、野党共闘の下地を作ってきた。ただ、「今回の選挙協力はガラス細工だ」(選対幹部)という。立民県連、国民民主党県連、社民党県連、県議会会派県民連合、連合福島で構成する五者協議会は金子擁立の際、選挙戦で共産の応援演説を受けないことを条件とした。共産党と距離を置く連合組合員や国民支持層に配慮した。

 野党共闘を前面に打ち出せば、前回取り込みに成功した保守層も離れかねない。選対本部長の亀岡義尚は「野党共闘は揺るがない。反政権票の受け皿になる」としている。

■ 亀岡氏 要職経験の実績強調

 亀岡偉民は21日、金子の出身地である伊達市で演説会を開き、自公政権継続の必要性を訴えた。伊達地方は亀岡の養父で建設相や農林水産相を務めた故亀岡高夫元衆院議員の地盤で、亀岡も「地元」として重視する。

 演説会では文部科学と復興の副大臣を歴任した実績をアピールし、自公政権でなければ自然災害やコロナ禍に対応できないと強調。経済再生に向けて「必ずV字回復させる」と訴えた。沿岸部では、処理水の海洋放出方針について「風評被害を発生させないよう正確な情報発信に努める」と理解を求める。

 亀岡は前回、比例東北での復活当選に回った。今回は、前回の得票数11万3514票から15%増の13万票を当選ラインに据えた。市町村の行政区単位に張り巡らせた百を超える後援会、自民の友好団体などのスタッフらが、福島市の選挙事務所を拠点に組織戦を展開している。

 十一月から来年一月にかけて相次ぐ福島、相馬、南相馬、伊達の各市長選を好材料と捉える。それぞれの首長とは支援を受ける組織が重なる。前哨戦と位置付け地盤を再確認するよう、県議や市町村議にハッパを掛ける。

 新型コロナ感染拡大や処理水海洋放出方針、米価下落などを巡る政府対応への批判はある。従来からの支持基盤である農業や水産業などの関係者からも「厳しい注文」(選対幹部)が寄せられている。選対本部長の西山尚利は「自公の安定政権でなければ今の難局は乗り切れない」と強調する。

■1区

金子 恵美 56 ☆立民 前②

亀岡 偉民 66 ☆自民 前④ [公]

(届け出順、敬称略。丸数字は当選回数。☆は比例東北との重複立候補。四角枠は推薦政党)

▽福島市、相馬市、南相馬市、伊達市、伊達郡、相馬郡

▽有権者=40万5092人(18日現在)

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2017年衆院選本県1区の結果

当 126,664 金子 恵美 52 無所属

比 113,514 亀岡 偉民 62 自民

(敬称略。比は比例代表での当選者)