太平洋に面した天神岬。楢葉町振興公社が運営する天神岬スポーツ公園では、宿泊や食事、遊び、キャンプなどを思う存分楽しむことができる。今回はタレントのなすびさん(福島市出身)と、秋の岬でアウトドアを満喫した。
■夕日眺め園内散策
公園の敷地内にキャンプ場、アドベンチャー広場、ドッグラン、展望台などを備える。マウンテンバイクや子ども用の自転車を貸し出しており、潮風を感じながら園内を散策できる。なすびさんは、天神岬スポーツ公園支配人の鈴木昇さん(61)と一緒にゆったりとサイクリングし、太平洋に沈む夕日を眺めた。
「天神岬温泉 しおかぜ荘」では、黄金色のしっとりとした塩化物泉、源泉100%の温泉を楽しめる。「展望の宿 天神」は全室海向きで、爽快な景色を堪能できる。旬の魚や新鮮な地元野菜をふんだんに使った食事も魅力だ。天気が良ければ、露天風呂からは朝日を拝むことができる。
■海見下ろせるキャンプ場
敷地内にはオートキャンプ場とフリーキャンプ場がある。海を見下ろす絶好のロケーションで家族や仲間と過ごす時間は格別だ。
オートキャンプサイトは20区画。区画ごとに炊事場、AC電源、水道を備える。広々としたスペースが魅力だ。
フリーキャンプは松林の林間サイト。70区画あり、海風を感じながら自由な時間を満喫できる。
■天神岬スポーツ公園キャンプ場概要と利用料金(税込み)
◇オートキャンプ場 1区画1泊5500円
(午後一時~翌日午前11時まで利用)
▽アーリーイン 午前9時~ プラス2750円
▽レイトアウト
4月~9月 ~午後5時 プラス2750円
10月~3月 ~午後3時 プラス2750円
※1区画(10メートル×10メートル)AC電源、水道、野外炉設置
◇フリーキャンプ場 1区画1泊2200円
(午後一時~翌日午前11時まで利用)
▽アーリーイン午前9時~ プラス1100円▽レイトアウト4月~9月 ~午後5時 プラス1100円
10月~3月 ~午後3時 プラス1100円
※1区画(6メートル×6メートル)1泊増すごとに1650円追加
◇バーベキューサイト(囲炉裏) 1炉1日1100円
4月~9月(午前9時~午後5時)
10月~3月(午前9時~午後3時)
◇鉄板レンタル1000円(網・木炭・着火剤は別途販売)
▽問い合わせ=楢葉町振興公社 電話0240(25)3113
■放流続け伝統守りたい 木戸川のサケ漁
かつて木戸川のサケ漁は国内有数の捕獲数を誇った。魚が遡上(そじょう)する10月から11月にかけ、新鮮なサケの身やイクラを求める人でにぎわった。東日本大震災、東京電力福島第一原発事故の発生後は中断されたが、2015(平成27)年10月、5年ぶりに復活した。
漁は木戸川に設けた「やな」や地引き網で行う。今季は10月1日に水揚げを開始した。原発事故後、稚魚を放流できなかったことや全国的な不漁の傾向で、木戸川でも水揚げは極端に少ない。現在は、木戸川漁協が運営する直売所で販売できるほどの十分な量を確保できていないため、直売所ではサケフレークなどの加工品を扱っている。
同漁協鮭ふ化場長の鈴木謙太郎さん(39)は「地道に稚魚の放流を続け、伝統のサケ漁を守っていきたい」と話す。なすびさんはサケを手に取り、鈴木さんから説明を受けた。
■新鮮なサケ味わう
なすびさんはオートキャンプ場で、木戸川で水揚げされたサケや町産のサツマイモを使ったご当地ならではの「キャンプめし」作りに挑戦した。
町振興公社の調理スタッフのアドバイスを受け、「サケのカツレツ」と「サケとサツマイモの炊き込みご飯」を作った。
カツレツは、サケに塩で下味を付け、薄力粉、溶き卵、パン粉を絡め、油でじっくり揚げれば完成。新鮮なサケを使っており、ふっくらとした食感が特長だ。
炊き込みご飯はサツマイモをざく切りにし、塩などで味付けしたシンプルなメニュー。サツマイモの甘さとホクホクとした食感、サケのうま味が濃縮された味わいで箸が進む。なすびさんは「サケの身がしっかりしていておいしい。炊き込みご飯にサツマイモを入れるのは新しいアイデア」と絶賛した。
ならはすいとん研究会代表の松本里香子さん(63)が、町内で親しまれている家庭料理「マミーすいとん」を差し入れてくれた。
■観光、食の発信拠点 道の駅ならは
楢葉町の六号国道沿いの高台に、船をイメージした全面ガラス張りの建物がある。道の駅ならはは、町の観光や豊かな食を発信する拠点として連日、多くの人でにぎわう。
東京電力福島第一原発事故後は休館し、双葉署の臨時庁舎が設けられるなど復旧・復興の拠点としての役割を果たした。2019(平成31)年4月に温泉保養施設、2020(令和2)年6月に物産館がそれぞれ営業を再開した。
物産館では、町が栽培に力を入れているサツマイモ、地元農家が栽培した新鮮野菜、地酒、町特産のユズを使ったコロッケやジェラートなどを販売し、好評を得ている。天神岬スポーツ公園支配人で駅長も務める鈴木昇さんがなすびさんに特産品をアピールした。
フードコートでは「ならは海鮮タンメン」などが人気だ。県内でも数少ない天然温泉を備えた道の駅で、1日中楽しむことができる。今年でオープン20年目を迎えた。鈴木さんは「たくさんの人に利用していただき感謝している。観光や交流人口拡大の拠点になるよう施設のさらなる充実を図りたい」と話した。