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【国会開幕】公約どう実現するか(11月11日)

2021.11.11 09:15

 衆院の解散総選挙を受けての特別国会が十日、召集された。特別国会は三日間の日程だが、年内にも開会見込みの臨時国会は国民の信任を受けた議員の本格論戦の場となる。選挙中に掲げた公約や主張をどう実現していくのか。有権者として各党が打ち出す政策や、各議員の発言を注視していきたい。

 今回の衆院選で、公明党と連立を組む最大与党の自民党は議席を減らしたものの、追加公認二人を含め、全ての常任委員会の委員長を押さえ、国会運営を主導できる絶対安定多数(二百六十一議席)に単独で達した。ただ、現職幹事長が選挙区で敗れ、辞任に追い込まれる大きな痛手を負った。四党が共闘を組んだ野党は主軸の立憲民主党が伸び悩み、代表はじめ執行部が退陣する事態に追い込まれた。

 与野党双方に勝利の高揚感のないまま国会に臨むことになるが、論戦が低調では有権者の評価はますます下がるばかりだ。こうした時こそ国民に対して、より丁寧な説明が求められる。最大の焦点は、現在は落ち着いている新型コロナウイルス対策となるだろう。対策は感染防止から、疲弊した観光業や飲食業など経済への対応、子育て家庭への支援など幅広い。

 政府・与党は経済対策の財政支出を三十兆円超とする方向で調整を始めた。十八歳以下の子どもに対する十万円相当の給付のほか、観光支援事業「Go To トラベル」の再開、介護士や保育士、看護師らの処遇改善などを盛り込む見通しだ。事業の裏付けとなる補正予算案の財源も含め、分かりやすい議論に期待したい。

 野党も選挙中には積極的な経済政策を打ち出している。感染の推移を見ながら、誰を助けるために、どこに力点を置き、何に最優先に取り組むのか。柔軟な対応とともに、早期に合意点を見いだすよう求めたい。

 福島民報社が選挙期間中に実施した県民への電話世論調査では、次期政権に望む新型コロナウイルス対策のトップは41・7%の「治療薬の開発」だった。「医療体制の充実」が18・2%で続き、「Go To トラベルなど経済対策の充実」の6・8%を大きく上回った。

 政府・与党は経済対策を重視しているが、県民には「第六波」といわれる爆発的感染の再来への懸念が強い。衆院選では、医療体制の強化や病床確保に向けた議論は深まらなかった。これまでの経験を踏まえ、医療崩壊を起こさない具体的な対応策の明示も必要だろう。(安斎康史)