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財政支援を国に要望 小規模損壊に独自補助も検討 福島県沖地震で知事 被災地を視察

2022.03.19 12:13
亀裂が入った相馬港を視察する内堀知事(左)

 福島県の内堀雅雄知事は18日、最大震度6強の地震に見舞われた被災地を視察した。東日本大震災や東京電力福島第一原発事故、台風19号、昨年2月の同県沖地震など相次ぐ被災状況を政府に訴え、早期復旧に向け最大限の財政支援を求めていく方針を明らかにした。相馬市で報道陣の取材に答えた。災害救助法に基づく支援対象に該当しない比較的小規模な住宅損壊の修理費については、県独自に補助する方向で検討する考えも示した。

 内堀知事は国見、新地、相馬、南相馬の4市町で首長や被災者から要望を聞き取り「傷痕が癒えてきたところでまた災害が起き、県民の心は折れかねない」と述べた。「福島ならではの特別な事情を政府に訴え、最大限の支援をするようお願いする」と明言した。

 災害救助法に基づく修理補助の対象外となる「一部損壊」の住宅について、首長から県が補助するよう求められたのに対し、内堀知事は報道陣に「しっかり対応していきたい」と語った。県によると、県内の住宅被害は18日午後2時現在で104棟に上るが、国の補助対象となる全壊や半壊は確認されていない。一部損壊被害はさらに拡大する見通し。

 首長からはインフラや住民生活の復旧に向けた市町村への人的支援を求める声が複数上がった。県は新地町に下水道施設の復旧を進める技術職員を派遣するほか、国見町には罹災(りさい)証明の発行手続きに当たる職員を送る方針。2町以外にも被災市町村から要望があれば派遣を検討する。

 相馬、伊達、新地の3市町は災害廃棄物の焼却施設が被災したため、廃棄物の広域処理の調整を県に求めた。県と59市町村、13行政組合による相互応援協定に基づく初めての要請。近隣の南相馬市で受け入れに向けた準備が進んでいる。

 内堀知事は視察後に県災害対策本部員会議に臨み、「さまざまな市町村や県民の声を受け止め、きめ細かな対応を速やかに講じていく」と強調した。

   ◇   ◇

 内堀雅雄知事は18日の被災地視察で、深刻な被害に見舞われた事業者や住民の悲痛の声に寄り添い、県として最大限支援していく考えを示した。

 最大震度6強を観測した相馬市では、地面のひび割れや液状化が起きた相馬港、建物が被災した宿泊施設、他の病院の人工透析患者を受け入れた相馬中央病院、避難所となっているスポーツアリーナそうまを訪ねた。宿泊施設では、度重なる災難に嘆く経営者の男性の話に耳を傾けた。避難所では、断水などで不自由な暮らしを余儀なくされている障害者や高齢者を気遣った。

 新地町では下水道施設の被災現場や相馬共同火力発電所新地発電所、国見町では地盤沈下が起きた道の駅国見あつかしの郷、南相馬市では陥没した県道を訪れた。

激甚災害指定困難との見方

 内堀知事は記者団の取材に、被害状況を踏まえると国による激甚災害指定は難しいとの見方を明らかにした。国に最大限の財政支援を求めながら、広域自治体として支援を講じるとした。