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福島県に特例支援検討 震度6強地震で政府 多重災害、財政状況踏まえ

2022.03.20 09:51
斉藤国交相(左から3人目)に399号国道・伊達橋の被災状況を説明する内堀知事(同2人目)。橋が東西方向に約40mずれて接合部の路面(手前)が盛り上がり、全面通行止めになっている=19日正午ごろ、伊達市前川原

 二之湯智防災担当相は19日、最大震度6強の地震で被災した福島県への支援について、度重なる災害や県の厳しい財政状況などを踏まえ、福島県特有の事情に配慮した最大限の財政措置を国として講じる意向を示した。県庁で内堀雅雄知事から被災者の生活再建や事業者支援などに関する緊急要望を受けた後、報道陣の取材に明らかにした。既存の制度や枠組みを超えた特例的な支援を念頭に置いた発言とみられる。

 緊急要望は冒頭を除き非公開。内堀知事は、福島県は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興途上にある上、2019(令和元)年の台風19号や昨年2月の福島県沖地震など度重なる困難に直面していると説明。「県民の心が折れることのないよう、一刻も早い復旧に向けた政府の特段の配慮と支援が必要だ」と訴えた。

 福島県は災害救助法適用外の小規模損壊への補助など独自支援を検討する方針だが、被害は県民生活や経済活動など広範囲に及ぶ。要望では、被災者の生活再建や中小事業者の事業再開の支援、インフラ復旧の国の負担割合増など、国による特段の財政支援が不可欠だと強調した。

 二之湯氏は要望後の取材に対し、「(復旧に伴う財政支出など)福島県の厳しい状況を踏まえ、できるだけ国として支援できるよう検討していく」と述べ、既存の制度や枠組みを超えた対応を講じる可能性を示唆した。

 これに先立ち、二之湯氏は福島県相馬市の被災現場を視察し、市役所で立谷秀清市長と意見交換した。立谷市長は被災者の生活再建や事業者の復旧を促す支援策を要望し、二之湯氏は支援を検討する考えを示した。

 政府は昨年2月の福島県沖地震の発生後、東日本大震災からの復興途上で再び災害が起きたことを考慮した特例的な支援策を決定。中小企業の事業再開を後押しする「グループ補助金」制度や、住宅が壊れた被災者の生活再建策などを打ち出した経緯がある。


【緊急要望のポイント】

本県は度重なる困難に直面している。県民の心が折れることのないよう、一刻も早い復旧に向け、政府による緊急かつ重点的な支援が極めて重要。スピード感のある対応を

(1)被災者の生活再建支援

→住宅の被害認定調査や罹災(りさい)証明書発行の業務にかかる費用を含めた十分な予算確保

(2)インフラの復旧支援

→災害復旧事業や災害廃棄物処理事業などへの国庫補助・負担率のかさ上げ

→地方交付税による被災自治体への十分な財政支援

→災害査定業務の迅速化、事務手続きの簡素化

(3)被災した中小事業者の復旧支援

→事業者の早期事業再開に向けた財政措置

(4)被災者の負担軽減に関する財政措置

→被災者の負担の軽減に必要な財政需要に的確に対処できるような特別な地方財政措置

(5)防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の加速への支援

→大規模地震などの対策に必要となる十分な予算の確保

(6)原発の安全確保

→地震による原発への影響に関する情報を迅速かつ分かりやすく伝え、県民の不安解消に最大限努めるよう東京電力を指導・監督すること