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新幹線運休影響広がる 利用者は困惑「再開を」 別の手段で目的地へ 【福島県沖地震】

2022.03.20 13:00
臨時快速を利用する人で混み合う那須塩原駅=19日午前9時40分ごろ

 福島県沖を震源とする最大震度6強の地震は交通網にも爪痕を残している。東北と関東を結ぶ大動脈の一つ、東北新幹線は三連休初日の19日も那須塩原(栃木県那須塩原市)-盛岡駅間で運休。まん延防止重点措置の全面解除や春休み、年度末を前に、利用者に困惑や再開を望む声が広がる。JR東が走らせた臨時快速列車には立ち乗り客も。県民らは飛行機や高速バスも使い、目的地に向かった。


 19日朝のJR福島駅の在来線ホームには臨時列車を待つ乗客が列をなした。午前8時すぎに駅を出た時点でほぼ満席。郡山駅で乗り込む人が降車数を上回り、通路にも多くの人が立った。

 横浜市の渡辺幹夫さん(66)は法事で訪れた二本松市の実家で地震に遭い、帰る途中。18日の在来線が遅れたためタクシーで郡山市に南下し、一泊した。宿で臨時列車の運行を知った。「横浜の家が気掛かりだ。早めに戻るめどが立った」と話した。

 那須塩原駅に着いたのは午前9時40分ごろ。新幹線に乗り換える人でホームは混雑し、駅員の案内の声が響いた。周辺の駐車場は「満車」の表示が目立つ。福島ナンバーの車も多かった。

 乗客の中には運休で予定を変えた県民もいた。普段は新幹線で福島市の実家と東京都の自宅を行き来する自営業細井きぬよさん(41)は実家での滞在を2日ほど短縮。車で那須塩原駅を訪れ、新幹線に乗った。「高速バスは満席が多い。新幹線のありがたみを痛感した」と早期復旧を願った。

 宮城県と県内を行き来する人も新幹線の運行再開を待ち望む。郡山女子大4年の福田愛理さん(22)は4月から宮城県の中学校で家庭科の教師になる。来週末には引っ越す予定だ。「高速道が復旧したので少し安心したが、新幹線も再開してほしい」と求めた。

 新幹線の運休の影響は空の便にも及ぶ。福島空港午後零時25分着、折り返し午後零時55分発の伊丹(大阪)便は19日、ともに70席がほぼ満席となった。

 広島市に単身赴任中の郡山市の会社員男性(51)は月一度、新幹線を乗り継いで帰っている。今回は伊丹空港で飛行機に乗った。「家に被害はなかったが、心配だ。飛行機なら確実に帰れると思った」と郡山駅行きのリムジンバスに急いだ。

 全日空(ANA)は新幹線の運休を受けて20~24日、羽田-福島間で臨時便を運航する。

 福島市のJR福島駅東口の高速バス乗り場にもバッグやキャリーケースを持つ人の列があった。神奈川県の会社員飯田駿さん(26)は約2週間の福島出張を終え、18日に帰る予定だったが、新幹線が動かず、ホテルに一泊した。「4月にも福島に来る可能性がある。それまでに再開してほしい」と話した。


■広範囲で被害確認高架橋や壁線路など

 今回の地震で東北新幹線は、福島-白石蔵王駅間を走行中の下り列車が脱線した。脱線現場を含む那須塩原-盛岡駅間では高架橋や線路などの破損が確認されている。JR東日本は那須塩原-盛岡駅間の運休について「設備の被害が広範囲にわたっている影響」などと説明している。

 高速で走る新幹線には、地震をいち早く検知して列車を停止させる早期地震検知システムが導入されている。今回も作動したが、脱線の詳しい原因は調査中という。同社は安全が確認できた区間から運休を解消する方針。

■JR常磐線広野-富岡駅間あす運転再開

 今回の地震では、2020年3月に全線再開したJR常磐線にも大きな被害が出た。19日も広野-山下駅間で運転見合わせが続いた。JR東は19日、広野-富岡駅間で21日に運転を再開すると発表した。