今年度から二〇二五(令和七)年度まで四年間の県行財政改革プランがスタートした。各種目標の達成に向けて二十九項目に及ぶ指標を掲げたのが大きな特徴と言える。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興や市町村との連携、デジタル変革(DX)社会を見据えた意識付けなど、取り組むべき課題は山積している。指標にどう向き合うか。大胆な発想の転換と日々の工夫の積み重ねが求められる。
プランは(1)東日本大震災・原子力災害からの復興・再生(2)多様な主体、市町村等との連携・協働(3)効果的・効率的で持続可能な行財政システムの確立-の三つの柱を掲げた。それぞれの柱には指標とともに目標値とその考え方が明記された。前計画の復興・創生に向けた行財政運営方針では、目標値が設けられていなかった。具体的な数値を挙げて「見える化」することで、職員の意欲向上につなげてほしい。
震災と原子力災害からの復興・再生では、被災市町村における職員確保の充足率の目標値を100%とした。県は被災市町村に対して職員のほか、県外自治体の職員、任期付職員を派遣している。帰還困難区域を含めた住民の帰還やインフラ整備、地域コミュニティー形成に向けた環境づくりが進む中、被災市町村の業務は増える一方だ。基準としている二〇二一年度の充足率は96%となっているが、今後もしっかりと支援する姿勢を示したことは評価したい。
効果的・効率的で持続可能な行財政システムの確立については、DXの推進によって県の業務が大きく変化する可能性を秘める。それを職員だけでなく、利用する県民の利便性にどうつなげていくかが最も重要な視点だろう。指標では、行政手続きのオンライン利用率を現状の48・2%から80%にまで引き上げる。オンライン化に当たっては、不慣れなお年寄りでも簡単に手続きができるよう、利用者の立場に立った見直しとなるよう期待したい。
コピー用紙購入量(本庁・知事部局)についても、二〇二〇年度の四千万枚を最終年度には千二百万枚とする。約70%の削減となる。デジタル化に伴い、紙が減るのは必然だろうが、70%減らすのは容易なことではない。これを機に、職場の業務一つ一つを点検しながら、目標に向けて知恵を出し合ってはどうだろう。職員が「どうしたら改善できるか」と常に考えながら仕事に取り組むことこそが、行財政改革の一歩となるのではないか。(安斎康史)