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【今後の復興財源】オール福島で確保を(4月21日)

2023.04.21 09:19

 県は、2025(令和7)年度までの「第2期復興・創生期間」以降に必要な復興予算の確保に向け、今年度から政府や関係省庁との交渉を本格化させる。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興は途上にあり、中長期にわたる安定した財源が必要なのは言うまでもない。「第3期」の枠組みの下、十分な予算化が継続されるよう強く働きかけてもらいたい。

 5年間で1・6兆円規模となった第2期は今年度が折り返しとなる。終了後も国から手厚い補助を受けるには、引き続き支援が欠かせない事業や、新たに需要が生じた事業を精査しなければならない。相当な時間をかけた調整作業が求められ、早めの対応が不可欠だ。

 県は、間もなく始まる2024年度の政府予算要望に合わせ、2026年度以降を見据えた交渉も進める。重点項目として(1)原発事故の対応(2)避難地域と浜通りの復興再生(3)風評払拭、風化防止対策の強化(4)福島イノベーション・コースト構想の推進(5)ふくしま創生に向けた取り組み―を掲げた。

 原発事故対応を巡っては、1~3号機の原子炉格納容器内に残る溶融核燃料(デブリ)の取り出しなど最難関の作業が控える。イノベ構想の発展に向けて設立された福島国際研究教育機構(F―REI)は、今後7年をかけて施設や研究体制の基盤を築く。避難指示解除区域の生活再建を含め、本県の復興は重要な局面が続く。

 今後の復興予算について、昨年12月に閣議決定した政府税制改正大綱は「息の長い取り組みを支援できるよう確実に財源を確保する」とした。岸田文雄首相も「しっかり確保する」と公言している。

 一方で、復興政策の10年間を振り返る復興庁の有識者会議では「地方負担がゼロだったために事業が過大になった」として、一定の引き締めが必要との議論が交わされた。今後の予算編成に影響を与えかねず、県の担当者は国の動向を警戒する。

 この12年間で関係省庁の担当者が入れ替わり、内堀雅雄知事は「非常に厳しい戦いになるだろう」とみている。被災地の結束を強めるため、市町村や各種団体を含めた「オール福島」の体制づくりも求めたい。(角田守良)