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【鉄路と生きる】只見線 福島県、直営で管理 「鉄道技術職」初採用へ 上下分離方式、先進モデル目指す

2023.09.16 09:16

 福島県は「上下分離方式」に伴い線路などの鉄道施設を所有しているJR只見線会津川口(金山町)―只見駅間の維持管理業務を直営する。2024(令和6)年度に「鉄道技術職」を初めて採用し、人材を確保・育成する。昨年10月の運転再開以降、JR東日本から職員派遣を受けて対応しているが、維持管理の主体者としてJR側からノウハウを引き継ぎ、将来にわたって安全な運行体制を確立する。利用者減などで地方鉄道の在り方が問われている中、上下分離方式での先進モデルの構築を目指す。

 15日、鉄道技術職の募集を始めた。県によると、鉄道技術職の採用は都道府県では都営地下鉄を持つ東京都に続く2例目で、上下分離方式導入県では初めて。

 只見線は2011(平成23)年の新潟・福島豪雨で被災。被害が甚大だった会津川口―只見駅間はJRがバス転換を示しながら、地元の強い要望もあり、「県が最大限努力する決断をした」(内堀雅雄知事)ことで、上下分離方式として復活させた経緯がある。

 地元負担が生じる方式の導入を決めた県として責任を持ち、主体的に関わる体制を沿線自治体や住民に示すことで、路線の恒久的な維持を強調する目的もあるとみられる。他県では現在、鉄道事業者への委託または指定管理を採用するケースが多いが、地方鉄道の厳しい状況の中で上下分離方式導入が増えつつある中、自治体直営という新たなモデルとなりそうだ。

 募集概要は【表】の通り。線路のレールや枕木の点検などを担う「工務」担当、踏切などの電気関係を維持管理する「信号通信」担当を各1人程度募る。JRからの職員派遣期間は工務が2027年10月末、信号通信が来年11月末までで、期間中は技術を学べるため、新卒者も対象とする。

 JRからの派遣職員は現在、工務と信号通信に土木を加えた計3人。土木担当は県土木部の技術職から賄う方針。県生活交通課の担当者は「利活用促進を進めるためには安全運行が第一となる。着実な人材確保につなげたい」としている。