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【復興臨時支局・富岡町編】夜の森の桜再生へ 来年度から植え替え 原発事故…手入れできず一部衰弱

2023.09.29 09:40
道路を覆う桜のトンネル=2009年4月
樹勢が弱まり、幹が枯れかけている夜の森地区の桜並木のソメイヨシノ=27日午後3時ごろ

 福島県富岡町は2024(令和6)年度、町のシンボルである夜の森地区の桜並木の保全と再生に乗り出す。東京電力福島第1原発事故発生後の数年間、手入れができず、577本ある木の一部は幹が枯れるなどして樹勢が弱まっている。老木や倒れる危険がある木を選び、毎年10本程度ずつ植え替えていく。美しいアーチを描いていた桜並木の復活を目指す。

 夜の森公園の周辺約2・2キロにわたり、街路樹としてソメイヨシノが植えられている。多くの木が樹齢80~100年となり、以前ほどの花付きは見られない。枯れた木などを引き抜いた上で、高さ5~6メートルで幹の直径40センチ程度、樹齢約10年の木を植える。初年度は旧富岡二中東側の10本を入れ替える予定だ。

 町は2011(平成23)年、原発事故で全町避難となり、避難指示が出たため2015年まで手入れができなかった。追肥ができず、カビの一種が原因のテングス病も広がった。その後、一時帰宅などの際に町職員が維持管理を図ってきた。樹木医の資格を持つ町産業振興課の山腰憲一さん(63)は「原発事故が樹勢を弱めた一因」と指摘する。

 昨年1月、特定復興再生拠点区域(復興拠点)の立ち入り規制が緩和され、桜並木の鑑賞が可能になった。今年4月1日に避難指示が解除された。

 町は桜並木を中心に地域を花で彩る構想を描いている。昨年、夜の森公園に八重桜「はるか」約30本を植えた。山本育男町長は「町民は桜並木に思い入れがある。花によるまちづくりに力を入れたい」と話す。