新区割りで初となる衆院選の日程が10月15日公示、27日投開票で固まり、県内各党は30日、候補擁立などの準備作業を一気に加速させた。自民党は本県新4区支部長で元復興相の現職吉野正芳氏(76)=当選8回=が正式に引退を表明。党県連は選対委員会を開き、元県議の坂本竜太郎氏(44)を党公認候補予定者となる後継の支部長に選んだ。新2区は不出馬を表明した現職根本匠氏(73)=当選9回=の後継の選考を開始した。根本氏の長男で弁護士の拓氏(38)が有力となっており、週内の決定を目指す。
吉野氏の引退は30日にいわき市で開かれた連合後援会の会合で斎藤公男連合後援会長が報告した。斎藤会長によると、吉野氏は不出馬の理由について「現在の体力で選挙戦をやり遂げる確信がなく、多くの人に迷惑をかけてしまう」などと説明。「被災地を選挙区とする国会議員として、復興創生の途上にある古里の現状を鑑みると誠に悔しく残念な思いだ」と明かしたという。新4区の次期候補者選定には「関与しない」とした。吉野氏は体調不良を理由に国会を欠席しており、この日の会合にも出席しなかった。
吉野氏はいわき市出身。磐城高、早稲田大第一商学部卒。県議3期を経て2000(平成12)年の衆院選福島県旧5区で初当選した。文部科学政務官、環境副大臣などを歴任。2017年4月には復興相に就き、避難区域の帰還環境整備などに尽力した。衆院東日本大震災復興特別委員長、衆院農林水産委員長なども務めた。
■坂本氏きょう会見
30日の自民党県連の選対委員会は、新4区内各支部への事前の聞き取りで推す声が多数を占めた坂本竜太郎氏の支部長選任を満場一致で決定した。矢吹貢一幹事長は終了後、報道陣に対し「若さと実行力、柔軟な発想力、政治経験があり、吉野氏が進めてきた浜通りの復興・創生を引き継ぐことができる人材」と述べた。坂本氏は1日に福島市で記者会見する。
坂本氏はいわき市出身。磐城高、中央大法学部卒。同市議を経て2015(平成27)年から県議を2期務めた。昨年11月の県議選に立候補せず、国政進出を模索していた。経済産業副大臣などを歴任した元自民党衆院議員・故坂本剛二氏の長男。
選対委は根本氏の後継となる新2区支部長の選考作業開始も決めた。一任を受けている矢吹幹事長が新2区内の各支部からの意見を踏まえた上で党本部への公認申請の期限となる7日までに選ぶ。
自民の吉野氏が引退する新4区に立憲民主党は会社役員の新人斎藤裕喜氏(45)、共産党は新人熊谷智氏(44)をそれぞれ擁立する。
根本氏が退く新2区には立憲民主党が現職玄葉光一郎氏(60)=当選10回=の擁立を決めている。共産党から党県委員の新人丸本由美子氏(62)が立候補を予定している他、会社経営の新人高橋翔氏(36)が立候補する意思を示している。