X メニュー
福島のニュース
国内外のニュース
スポーツ
特集連載
あぶくま抄・論説
気象・防災
エンタメ

迫る衆院選 政党の課題(下) 「共闘」の構図一転 野党、競合避けられず

2024.10.02 10:17

 「言うこと全てが信用できない」。石破内閣が発足した1日、選対会議の調整などに追われた立憲民主党福島県連のある役員は憤りを隠さなかった。石破茂氏は総裁選で衆院解散前の予算委員会開催などに言及していた。にもかかわらず、「短期決戦」に打って出た。

 懸案だった新4区での擁立を終え、自民より先に全選挙区での「臨戦態勢」を整えた。しかし、共産党県委員会が新2区と新3区に相次ぎ候補擁立を決めた。選挙区の情勢が急変した中で衆院選が迫る。与党に先行して支持を拡大できるか不透明感が増す。

 2021(令和3)年の前回衆院選は野党間の調整の末、県内全選挙区で与野党の一騎打ちが実現した。その結果、5選挙区のうち3選挙区を立民が制した。今回は事情が異なる。共産が「重要選挙区」に位置付け先に候補者を立てていた新4区へ立民は擁立方針を貫いた。「支持基盤が揺らいだ浜通りの立て直しは急務だった」と新4区の立民関係者は明かす。40代の会社役員を公認に決めると、共産は反発し新2区と新3区に候補を立て、競合が避けられなくなった。

 共闘路線の見直しに立民関係者の反応はさまざまだ。ある陣営は「裏金問題で自民を見限った保守層を取り込むのに追い風になる」とみて選挙戦略を練る。共産との共闘で少なからず影響があった一部労組からの支持回復も見込め、訴えを強める動きもある。

 一方、12年ぶりに野党が勝ち越した前回衆院選の勝因は一騎打ちの構図に持ち込んだ成果とみる向きも多い。ある県連幹部は「相当数の票が共産候補に流れるだろう」と政権に批判的な票の分散を危惧し、差分の票を埋めるための対策の必要性を指摘する。

   ◇    ◇

 比例東北での1議席獲得を目指す共産も共闘転換の影響を測りかねている。新1区ではこれまでの経緯を踏まえ、現時点で擁立を控える方針であるなど「部分的共闘」を否定せず、「他党との協議の門戸も閉じていない」(県委員会幹部)と「両にらみ」を強調する。2日の会議で具体的な戦略や方針を話し合う予定だが、野党の一角として存在感を示せるかが課題となる。

 日本維新の会県支部は選挙区での候補者擁立を見送り、改革の実現を訴えて比例票の獲得に重点を置く。

 立民県連とともに「5者協議会」を構成する国民民主党県連、社民党県連は小選挙区で立民候補の支援に回る。国民は比例東北の議席獲得に向け、賃金が上がる経済の実現など重点政策の浸透に力を入れる。社民は県内11の総支部組織を生かし比例東北での票の積み重ねに重点を置いた活動を進める。