11回目の当選を決めた立憲民主党の前職玄葉光一郎さん(60)は福島県郡山市鶴見坦の事務所で支持者から祝福を受けた。妻美樹子さん(57)らと共に万歳し、「政治を正し、分散型社会につくり直していく」と表情を引き締めた。
区割り改定で大票田・郡山市を含む2区が新たな「戦場」になった。外相や旧民主党の要職を担ったベテランだが、「新人」の気持ちで選挙区をくまなく歩いた。「うそをつかない、ごまかさない、いばらない」。大切にしてきた信念を改めて胸に刻み、有権者と真剣に向き合った。
自民党の派閥裏金事件や政治家の世襲を問題視し、政治改革の必要性や政権交代が可能な政治の実現を訴えた。還暦を迎え「まさに今が働き盛り」と、衰えぬ政治への情熱を何度も口にした。出身高校の同窓生や企業、団体の縁をつなぎ、幅広く浸透した。
東京一極集中から地方を重視した持続可能な分散型社会への転換が必要だと強調する。「政治改革を具体的に進めていく」。政治の刷新を押し進める覚悟だ。
■2区戦いの跡 玄葉氏 浮動票を取り込む
立憲民主党の前職玄葉光一郎氏が自民党の新人根本拓氏を振り切り、11回目の当選を飾った。
玄葉氏は地盤である旧3区の須賀川、田村両市と岩瀬、石川、田村各郡で強固な後援会組織が力を発揮した。区割り改定で新たに選挙区となった大票田の郡山市では地区単位に築いた支援団体が選挙戦を支えた。母校安積高の同窓会や岳父佐藤栄佐久元知事の地縁・血縁なども生かして幅広く支持を呼びかけた。政治改革や東京一極集中の是正などを訴え、有権者の共感を得た。最終盤は市街地での街頭活動に集中し浮動票の獲得に注力した。
根本氏は今月上旬に立候補を表明。元厚生労働相の父匠氏から地盤を引き継ぎ、農商工の各種団体などの支援を受けた。首相や元首相が続々と選挙区入りするなど組織力を前面にして戦ったが、短期間の中で知名度不足を克服できず、及ばなかった。
共産党の新人丸本由美子氏は政権批判を展開したが浸透できなかった。(本社報道部・丹治隆)